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刺激的?
「ったく、ちゃっかりしてやがるぜ」
アスカはフードの奥で苦々しげに続けた。聖霊達はアスカの呟きに応えて、クスクス笑っていそうな雰囲気だが、ヴァンパイアを気にしているようでもあり、神妙な様子で、それなりに行儀よくしている。新たな噂の誕生を前に、男の機嫌を損なっては、元も子もない。アスカの機嫌については、はっきり言って無視されていた。
「友情なんて、そんなもんさ」
多少なりとも男に関心を持ったことを、気付かれていたようだ。男の客が珍しいというのは、言い訳でしかない。単調な日々は平和だが、そこに波紋を起こす出来事は刺激的だ。それにあの声―――。思い出しても、たまらなくなる。聖霊達同様にアスカも男に何かしらを期待し、予約のこの時を楽しみにしていたのだった。
それがやって来たのはヴァンパイアだ。恐怖以外の何ものでもない。何をしに来たのかもわからない。聖霊達が期待しようが、親しくなれそうな要素は全くなかった。
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