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ピピッピピ?

 目の前のヴァンパイアは、十字架を恐れず、日の光にも強く、二十四時間起きていられるだけではない。超人的破壊力に、空中にも飛び立てる素早い動きを併せ持つ。  彼らは俗物的な金持ちで軽薄なモテモテ男というだけではなかった。喧嘩慣れしているアスカでも、間違いなく一捻りされて終わりだ。仮にそうなれば、『人間外種対策警備』の出番となる。皮肉なことに、時代の変化を主導したヴァンパイアが時代の変化に取り締まられる。しかも宿敵となった人狼の組織によってだ。笑える話だと、アスカは思った。  笑っていられるのも、高みの見物でいてこそだ。そろそろ待ちに待った終了の合図が鳴る。それを最後に男とはかかわらない。 ―――ピピッピピ。  アスカはほっとした。これでお帰り頂ける。そう思った瞬間、視界から男の姿が消え去った。 「どこだ?」  つい呟いたが、すぐ横にいるのには気付いていた。紛うかたないヴァンパイアのひややかな気配がそこにはあった。

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