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ウキウキ?

「あんた……」  アスカはフードの奥から慎重に声を響かせた。占い師と客は飽くまでも他人だ。親密そうに横に立たれたままにしておけない。 「何がしたい?」  ヴァンパイアとの勝敗を決するものを考えると、アスカの頭には沈黙が浮かぶ。わかっていたことなのに話し掛けていた。しまったと思った時には遅きに失した。アスカの問いに答えるように、男が硬直を解いた。頬に風を感じ、フードが背中にふわりと落ちたのでわかる。  その理由となるとさっぱりわからないが、フードを払い落としたことからして、アスカの顔を眺めたいと思ったのは事実だろう。薄暗い小部屋に灯された仄かな明かりを頼りに、死者の瞳を凝らした瞬間、ぎょっとされたのは心外だが、男の動揺には苦悩と焦りも見て取れた。 「クソっ」  それでこの悪態だ。ヴァンパイアの口から聞かされたのは驚きだが、面白いことに恐怖は感じなかった。アスカは人間らしい感情の発露にウキウキしたいくらいだった。

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