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相応しい装い?
〝クソ!クソ!クソ!〟
アスカは自分を罵倒する心の叫びに、意識を集中させた。耳の熱がアソコを直撃したのだ。無駄と知りつつ、罵倒し続けることで熱を冷ました。
この状況下で思うことは〝ロングドレス最高!マント万歳!〟だった。それで男に気付かれないでいる。言葉を繋ぐ男の甘ったるい響きに変化はなかった。
「己れの愚かしさを笑ったに過ぎない」
そう続けたあと、男はアスカの腰から手を離した。その手で優しく肩を押し、はっとするアスカを椅子にちんまりと座らせている。アスカは立ち上がろうにも、男の行動に虚を衝かれ、身動き取れなかった。
男は微笑んでいた。そして我が物顔で話を継いだ。
「日暮れに迎えに来る、人に会うのに相応しい装いで待つように」
「はっ……い?」
またもこの台詞が口に出た。アスカには男がふざけているとしか思えなかった。それが逆に消えたはずの恐怖を呼び起こす。男が見せる優しさは本物だろう。それでも恐ろしかった。
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