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待たされる?

 男二人のような人間達は、仕えたがる者達とは違う魅力をモンスターに見出だした。元が人間のヴァンパイアや人狼の若く逞しい姿に、時間も品よく棚に飾られていると捉え、自分達こそが身に着けるのに相応しいと考えた。  そうした者達は金持ちで地位も高い。人狼を避けてヴァンパイアに近付くのも頷ける。彼らに服従のポーズが出来るとは思えない。尻の匂いを嗅ぐことは絶対にしないだろう。『人間外種対策警備』で働くとなると、想像すら出来ない。優雅な暮らしを続ける為の変異だ。その理想を思うのなら、真っ先にアスカの安心安全な男が浮かぶ。 〝あの爺さん〟  聖霊達が臨場感たっぷりに聞かせるのは、徹底して男二人の会話だ。〝爺さん〟がしわがれ声のヴァンパイアであっても、内容的には人間が知り得る世間話でしかない。 〝使用人だからと思うが、あそこまで待たされることはないよな?〟 〝あんなジジイ、気にするな、ガキにしたってそこまで馬鹿じゃないさ〟

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