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男を蔑ろ?
アスカが腹の底から怒りを発したのなら、空気が呼応し、周囲に振動の波を描き出す。変態屋敷の応接室でその片鱗を見せてはいるが、一度もそれで何かが起きたことはない。自分だけに見えるものが自身の激しさといったところに多少の落ち込みはあっても、人間には見えないのだから、無意識にしたとしても誰にも知られず、殊更に思い悩む必要もなかった。モンスター居住区ではそうも行かない。モンスター達はアスカを〝落ちこぼれの用なし〟にはしたが、その能力は今もって恐れている。
「ぴぇっ」
〝うにゅ〟
フジとヤヘヱも奇妙な声と共に怖がった。フジは白蠟気味の肌を青黒くし、ヤヘヱは煌めきを暗く翳らせ、二人で仲良く震えている。
「ったく……」
アスカにはそれも面白くない。男に愛され、守られているというのに、男を蔑ろにしたような二人にむかついただけのことだ。むしろ怒鳴ってもいないのに、そこまで怖がられることの方がより腹が立ってならなかった。
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