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文字盤で?

「感謝なんていらねぇ、なんもしてねぇし」 〝うむ〟  ヤヘヱに間髪をいれず同意されたのは癪だったが、小憎らしい率直さはアスカも精霊達で慣れていた。いつもきっちり怒鳴り返して、すっきりしている。聖霊達もアスカに怒鳴られようが、どこ吹く風と楽しげだ。フジの素直さに心なしか腹が立つのは、きっちりもすっきりも出来ない苛立ちのせいかもしれない。ふとアスカはそう思った。 「クソっ」  だからといってフジを怒鳴る訳には行かない。聖霊達との付き合いにもさらりと流すべき時がある。フジが眩し過ぎる笑顔をぴかぴかに輝かせて時間を確認しようが放って置く。その腕時計を自慢げに突き出して来ようが気にしない。どうでもいいことには首を突っ込まない。 「ああん?」  アスカは腕時計を煩わしげに睨んで引かせようとした。大概は効果的な睨みだが、ここでそれが裏目に出るとは思わなかった。 「これって……」  あの人気ゲームの主人公が文字盤で微笑んでいた。

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