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山男に下心が?
自然界の聖霊が支配する個室に招かれる者は限られている。そこに人間は含まれていない。真正モンスター同様に、聖霊の基準においても、モンスター居住区に移住した能力者達は人間で、範囲の外にいる。招かれるも何も、彼らはカフェに個室があることさえ知らないだろう。『人間外種対策警備』の職員としてアスカの検査に立ち会い、能力者と認めながらも真の能力を理解せず、占いしか出来ない落ちこぼれと思っている。知れる訳がない。それも同じ職場で働く人狼が仕向けたことだ。能力者達は人狼の仲間ではないのだ。モンスターの秘密に直結する話に近付かせはしない。
個室はそうした秘密に溢れ、隠されることで神聖さが増した。最初にふざけていると感じた案内係の態度も、〝特別〟な客への敬意だったと思い直すべきことなのだ。しかし、そう素直になれないのがアスカでもある。
「ふんっ」
人間に毒され、変態組織の会員になるような山男に下心がないはずがない。
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