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男との縁を?
占いの小部屋にヴァンパイアである男が現れたことで、アスカの生活にも色々と変化が起こった。ヌシやアルファといったモンスター界の巨頭と知り合ったのを見てもわかるだろう。平穏な暮らしを求めて移住したアスカが率先してするはずもない。
モンスター達はアスカが持つ〝特別〟な能力を恐れ、遠巻きに監視するのに便利と、アスカを落ちこぼれの用なしにしたが、それを主導したヌシに呼び出され、パシリとなって『人間外種対策警備』へと出向き、アルファとも顔を合わせることになった。その段階で平穏な暮らしは望めないと理解すべきだったが、男の魂を解放さえすれば全てが元に戻ると、アスカは甘く考えていた。
そこにはアスカ自身の魂に潜む女への意地もある。解放は女の願いだ。男はその女のまぼろしを手放したが、愛まで手放してはいない。女の願いを叶えて男との縁を切ることがアスカには重要なのだ。しかし、落ちこぼれのせいか、方法がわからなかった。
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