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不能にでもなった?

「ク……っ」  アスカは男に聞かれないよう、息を吐くあいだに小声で続けた。 「っ……ソ」  アスカにすれば、頬を染めた男をちょいとからかってやることの何が悪いとなる。勝手に入り込まれた上に、居座られているのだ。男をすぐにも追い払いたいのは山々でも、からかうくらいしてやらないと割に合わない。それに妙な色気でもって、けしかけて来たのは男の方だ。 「だろ?」  アスカはアソコに向けて呟き、苛立ちを伝えた。 「ってのによ」  行けるかどうかも慎重に見極めようとした。不埒な妄想でもってアソコを刺激し、男がどう出るのかで、思いも量れるはずだった。やり過ぎて無表情にさせてしまったが、アスカ的には安心していられた。アソコは男が現れるたびに、いそいそと元気付く。絵になる美を見せられたのなら、当然のこと、我慢出来ずに歓喜する。そう思ったのも束の間、天晴れな程に裏切られた。不能にでもなったかのようにおとなしくして、男におもねたのだ。

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