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報酬は七三で?

「ふふん」  アスカの気分は上向いた。リビングと一体型に作り直したダイニングルームに男がいるのを目にしてからというもの、上がり下がりの激しかった気分もこれで一応の落ち着きを見せる。男の話に乗るとはいえ、アソコを教育するといった目的を秘めての一週間と思えば腹も立たない。この先、男に憎らしいことを言われたとしても笑っていなせる。アスカは胸のうちでそう思い、男が最良とまで言った提案をしたり顔で口にした。 「あんたを盾に、ってか?」  アスカがアスカでいる為の助言でもあるようだが、これを利用しない手はない。男をあいだに置くのなら、アスカは安泰だ。頼まれ事を処理した事実が大切で、アルファがそれをどう捉えようが、実害を被るのは男ということになる。検討し続けるはずの無意味な話に乗ってやるのだから、心苦しさもない。それでも等しく利するべきとは思っている。 「いいぜ、けど……」  だからこその割合を告げた。 「報酬は七三で」

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