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顔から血の気が?

「おおっ」  アスカは歓喜した。瞳に映る色鮮やかな秋の景色に、胃に優しい速度を意識した男を思わせ、気分も高揚する。男はふわりと飛んだあと、アスカを支えようとするかのように軽く背中に手を添えて、片腕に抱く体をするりと立たせた。そして風に乗ってゆったりと、一回転しながら芝生を敷き詰めた前庭へと下りて行く。前庭にはアスカの母親が丹精込めて世話をする秋の草花も咲き誇っている。その可憐に咲く花々をも巻き込むように、アスカのマントを華やかにひらめかせ、芝生の上に瀟洒に舞い下りたのだ。 「ふふん」  アスカは喜びに高まった気分のままに笑いを漏らした。男はやれば出来る奴だった。鼻先に吹き上がるひとひらの花びらにも、怪しげな山の頂上へと運ばれた時を思い、にんまりしてしまう。 「けど、これ……」  可愛らしい母親の顔が浮かんだ。不安になると同時に足元を色彩豊かに飾り立てる花びらを目にし、自分の顔から血の気が引くのがわかった。

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