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口調でわかった?

「へぇ……」  アスカは納得して思っていた。歴史の成績が散々だったアスカでも、時代の変遷くらいは覚えている。そこに男の話をはめ込んだのなら、過去において何者であったのかも、検索すればすぐに知れる。しかし、そうした過去に関心はなかった。男にも、怪しげな山の頂上で女のまぼろしを前にこう言われていた。 〝我らが恐れるものとて、過去ではない〟  関心を言うのなら、言わずもがなの金持ちがモンスター居住区を管理する不動産会社の代表に納まっていることの方が、アスカには余程引かれる。今も昔も、モンスター達はこの地域の領主に守護されていることになるからだ。アスカの使命はその領主、つまり男の魂をヌシの縛りから解き放つことにある。方法は不明のままだが、無表情で語る男のクソ話のどこに手掛かりが転がっているとも限らない。それでアスカはこう促すように続けた。 「で……?」  男は無表情を崩さないでいたが、苦笑したのは口調でわかった。

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