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あ……ん?

「ふふん」  アスカは楽しくなっていた。無理に抑えた腹立ちも消え去る勢いだ。この体に女を見るのは勝手だが、明らかに異なる形状を思うと笑えて来る。いつの日にか、すっぽんぽんになって、男の洒落たスーツをひん剥いてやるのもありな気がする。胸の膨らみに代わってぶら下がるアソコに焦りまくることだろう。 「あんたさ」  アスカは女の真似事もクソ面白そうと思いながら―――。 「マジ、こじらせてんな」  そう弾むように続けたあと、しおらしげに笑ってみせた。そうした真似事に男が気分を害するとは驚きだった。 「君は……」  最初、男の口調には悩めるような硬さがあった。当惑といった響きに近いが、一瞬のことだ。すぐに尖った調子に変えて言い直す。 「賢きたらんと思うたが誤りか」 「あ……ん?」  アスカにはその意味が理解出来ない。馬鹿にされたのがわかるだけに、聞き返すのも悔しい。それで強制終了させるのに一番の台詞で逆らうことにした。 「うるせっ」

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