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暗がりで思うのは?

「ったくよ」  男に繋がる前世の因縁を清算し、アルバイト風山男を手始めに新たな人生を目論むアスカには、このまま食堂に座っている方が堅実的であるのはわかっている。そうなると会議が終わるまでのあいだ、糧達の傲岸無礼でねちっこい叫びに甘んじなくてはならなくなる。 「クソっ」  糧の叫びは神経に障る。山男達も同じだろう。イライラしてならない。アスカはそう思いながらアイスティーをすすり切り、手にしていたグラスをテーブルに戻して椅子から立ち上がった。 「っうか……」  糧もだが、好きが高じてモンスター居住区で働く人間達は、モンスターと同類に扱われる能力者達を疎んじている。というより羨んでいる。そこをさらに刺激してやろうと頭にフードを被せたが、魔女をイメージしたその暗がりで思うのは精霊達のことだった。彼らはモンスターとの約束によって仕える人間の噂に気を配る。滅多矢鱈と騒がない。それでもワクワクしていない訳ではないのだ。

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