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苦痛となる?
「ふん」
アスカはむかつくままに鼻を鳴らした。キャッキャと騒がれるのは鬱陶しいが、妙な静かさでもって、ムチ姫のしもべのように待ての姿勢で来られるのも始末が悪い。人間の物に宿るせいなのか、彼らは人間に対して自然界の精霊にはない拘りを持つ。好きに騒げない場面での楽しみ方も、そうした拘りによって会得したと言えそうだ。
それもアスカにとっては笑えない話ではあった。しもべの真似事をされたのだ。反省させるだけでは気持ちが収まらない。とはいえ、この静かさが好都合なようにも思えていた。アスカは糧達を即座に叩き出したくなっていた。変に騒がれて、男に出張られてはやりにくい。戦乱の世に生まれた男には、アスカの立ち回りはお遊びにしか映らない。そこが悔しくて、男には会議を続けていて欲しかった。
「任せろってこった」
些細な嫌がらせも継続されたなら苦痛となる。ヌシの好物はまさにそれで、事あるごとに糧を差し向けるのもその為だ。
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