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触発されたのか?

〝うんうん〟  アスカにすれば、仲間意識で呟いたに過ぎない言葉だが、それを精霊達に都合良く、自分達への励ましと取り違えられてしまった。しかも熱の入った口調で声を揃えて返されたのだ。その勢いに気圧され、アスカは黙って続きを聞くしか出来ないでいた。 〝ヌシなんて〟 〝て、て、てっ〟 〝クソったれなガキんちょよ〟 〝よ、よ、よっ〟 〝チヲカテトスルモノって呼ばれてさ〟 〝さ、さ、さっ〟 〝きっときっと〟 〝調子こいてんだぞぉ〟 〝うんうん、絶対〟  そこでふと、アスカは肩先で眠るヤヘヱを思った。小心者の癖に威張りたがりだが、その個性にしても、男に名付けられて生まれたものではないように思えて来る。はぐれ者となったことで個性が持てたのは確かだが、基盤の性質はかしましい精霊達と変わりない。甘え倒して強気に出るところはそっくりだ。 「ふふん」  アスカはにやりとした。その皮肉な笑いに触発されたのか、精霊達の喋りがさらに熱を帯びていた。

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