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脱いでいた?
結局のところ、かしましい精霊達は今も昔も変わりないということだ。成長がないとも言えるが、人間が作り出した物に宿って、そこに起きた事実を漏れなく記憶するといった役目では仕方ないのかもしれない。
「……だな」
アスカは諦めた。話し合いは自然界の精霊とするより他ないようだ。まったき闇がかかわっているのだ。彼らの重い口も多少は軽くなるだろう。簡単に行くとは思えないが、やるしかない。それも男によって一週間の休みを強制的に取らされたことに始まるが、強制というだけあって、休みなく、占いの仕事以上に働かされる。アスカの気持ちを二の次に、あちこち連れ回しているのだ。まず間違いないと、そう思いながら自室へと向かった。
「報酬……」
アルファの件がある。謀叛を起こした家臣のこともだ。
「七三じゃ割りに合わねぇ」
男と事前に取り付けた割合に、追加で請求すると心に決めて、アスカはマントと縫い目が裂けたロングドレスを脱いでいた。
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