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運命にある?

「あんたは、さ」  アスカは行き着いたその答えにむかついてならなかったが、どうにか気持ちを落ち着け、穏やかに言葉を繋げた。 「俺を出汁にして、やらかそうってんだろ?」  と同時に思っていたのは、青年のこの台詞だった。 〝死は、あの方によって迎えるべきもの〟  男への執着が言わせた心情に潜む思いは、自らの優秀さを見せ付けるといった驕りだろう。それには現世に迷う男の魂を行くべき場所へと送るのが、女であってはならないことになる。女の願いをくじき、今生においても悲しみに突き落とす為にもだ。しかし、男がヴァンパイアに変異していた事実によって、魂の計画からして既に破綻していたと、青年にはそう映ったに違いない。 「仕方ないよ、君と僕、あの方とは……」  アスカに言葉を返す青年の明るい口調が単なる推測を真実へと押し上げる。それは嬉しくてたまらないといった響きにも揺れていた。 「この先もずっと、永遠に睦み合う運命にあるのだものね」

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