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番外編:ピアスを買いに行くお話①
「久しぶりの外出だ。」
そう言う結城はどこか落ち着かなさそうにしている。
「どうかした?」
「ううん、なんでもない!」
ぶんぶんと首を振る。やっぱりどこかぎこちなさそうな恋人がかわいい。
隣を歩く結城の手をそっと握る。
それに気づいて視線をこちらに向けてくる。
「だめだった?」
「ううん。むしろいいの?」
「うん。別に気にしない。」
全く気にしないと言ったら嘘になる。別に周りどう思われていてもいいが、そもそも視線を集められることが苦手だ。
「そっか、俺も気にしない。」
けど、周りがどうとかよりも結城と手が繋ぎたかった。
「じゃあお言葉に甘えて。」
指を絡めて繋ぎ方を変えた。恋人繋ぎだ。
それに応えるように結城の手に少し力が加った。
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