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番外編:ピアスを買いに行くお話②
「え、ここ?」
俺が結城を連れてきたのはブランド店だった。
「いいよ、ピアスだしこんな高い場所じゃなくても。」
「でも結城の家だって金持ちだし、いいピアスつけているでしょ?」
「買うのと買ってもらうのは違うって。」
「いいからいいから。」
お店の前から動かなさそうな結城を引っ張って店内へ連れ込む。
「いらっしゃいませ。」
店のなかに飾られているピアスを見つけ、向かう。
結城は店の雰囲気にやられて大人しく着いてくる。
「うーん。ここならシルバー系の方がいいかな?」
下の三連ピアスがシルバーだから統一したほうが良いかと考えて、シルバー系のピアスを見て回る。
「やっぱこれがいいかな?」
手に取って結城の耳元に合わせてみる。
一見、イヤーカフのようなデザインをしたピアス。太めのリングで、存在感がある。
「うん。おれも好き。」
「じゃあこれにしよ。」
「でも、高いし。いいの?」
「いいよ。付き合って初めてのデートの記念。」
そう返すと、ポッと頬が赤くなる。
「今日そわそわしてたの、それでしょ。」
結城は今日、初デートで緊張していたのだ。
「バレてたんだ。」
「うん。可愛かった。」
その日買ったピアスは、毎日のように結城の耳にあった。
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