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番外編:髪の毛の話
※付き合う前の話
「髪、伸びてきたね。」
椅子を隣に持ってきて髪をいじっていた結城が、ふと口にする。
「そうだね。元々長かったし。」
自分の前髪を触る。
前に持ってくると目が隠れてしまうほどだ。
「そろそろ切りにいかなきゃ。」
美容院、めんどくさいんだよな。
いつ空いていたっけと頭の中でスケジュールを考える。
「結城も伸びてきたね。」
結城はだらけて座っているため、つむじがよく見える。つむじはかなり元の黒髪が伸びてきて、プリン状態だった。
「うん。でも、次何色にしようか迷ってて。」
「俺は好きだよ。」
そう言うと、結城の手が止まる。
「似合ってるじゃん、金髪。」
「へ、ああ!髪ね!うん!俺も、好き!」
徐々に顔が赤くなっていく。
「どうした?」
「なんでもない!」
クルッと椅子ごと体を回しそっぽを向いてしまう。
「いいんちょがそう言うなら、また金髪にしようかな。」
顔が見えないから分からないが、喜んでいるように聞こえた。
「俺も好きだよ。」
「いいんちょの髪。」
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