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第17話

「よっ。」 「…よ。」  あれから、授業の教室移動で一年の前を通る時は話しかけるようにした。予鈴がなるギリギリまで。 「廊下に立ってる暇あるなら勉強したら?今テスト週間だよ?」 「うっさい。毎回僕に話しかける必要ないから。」  そう言いながらもその場を離れる素振りは見せない。どころか、いつも定位置で待ってくれるようになった。 「最近問題起こすの減ってきたじゃん。えらいえらい。」  頭をワシワシしていると跳ね除けられる。 「もう!髪の毛乱れる!」  とか髪の毛を直しつつ、嬉しそうな顔をする。 「…金髪の人にやればいいのに。」 「ん?なんか言った?」 「金髪の人、今日はいないの。」 「あー、結城?選択授業が違うからさ。」 「ふーん。」  遮るように予鈴がなる。 「あ、じゃあね。」  手を振る代わりに、もう一度髪の毛を撫でた。  

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