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第16話
教室の移動中。
窓に持たれかかった見覚えのある背中が見えて近付く。
「ルイ。」
「わっ!」
頭を触ると、思っていたよりも驚かれる。
「なんだ、委員長か、」
振り返ったルイは一瞬暗い顔をしていたような気がした。
「ありがとな、お見舞いくれて」
頭に乗っけた手をそのままに頭を撫でる。
「あっ、ちょ!髪の毛ぐしゃぐしゃ!」
ストレートのはずの髪の毛は乱れた。
「もー!」
一生懸命髪を整える。
「じゃ、それだけだから、」
「あっ。…うん。」
髪を整えるのに一生懸命だったはずの手がこちらへのびた。が、すぐに引っ込めてしまった。
後ろを振り返ると、窓の外を眺めていた。
いつも1人でいるのだろうか。
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