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第15話

「圭太?」  目を覚ますと結城がとなりで座っていた。ずっと看病してくれていたようだ。  いつのまにか夕方になっていたらしい。  「おはよ。」  「うん、おはよ。どう体調。」  「さっきよりは楽になったかも。」  すんなりと起き上がることができた。  「お昼食べ損ねちゃったね。」  「そうだな、お腹すいた。」  「あ、そうだ。」  何かを思い出した結城は一度部屋の外へ出る。  持ってきたのはビニール袋だった。  「なに?それ。」  「誰だっけ?あの子。一個下の問題児だけどかわいい子。」  「…ルイ?」  「そう!その子!ルイくんがね、色々と持ってきてくれたの!」  風邪薬と、ゼリーと、冷えピタと、スポーツドリンク。  「ゼリー食べる?」  「うん。」  ビニール袋に入っていた物の中のゼリーだけもらった。  桃味のゼリー。  プラスチックのスプーン掬って食べる。  「ルイくんにお礼言わなきゃね。」  「そうだね。」  甘くておいしい。  「…結城、」  「なに?」  「あいつは可愛くないよ。」

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