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第43話

 「あっ、起きた。」  いつもとは違って布団で寝ている感触。  見慣れない天井に旅館で寝ていると気づく。  そうか、海に旅行に行ってて…。  「圭太、大丈夫?」  横を向くと、こちらを向いて座椅子に座っている結城がいた。  外はいつの間にか暗い。  「旅館の人が料理持って来てくれたから、後で食べなよ。」  そう言いながらスポドリを渡され、素直に飲む。  冷やされていただろうそれは自分を潤してくれるようで、一度で半分ほど飲んでしまった。  「もう!熱中症で倒れたんだよ。」  「え、ごめん。」  「圭太って、そんなに体弱かったっけ?この前も風邪ひいてたしさ。」  「…いや、むしろ丈夫な方。」  自分でも最近の健康管理に呆れている。  「…じゃあ、ルイくんのことになると弱くなるわけだ。」  くしゃ、と、結城の顔が歪む。  「いや、ちが、」  「否定しなくていいよ!」  遮るように結城が叫ぶ。  その目から雫が溢れた。  「もう、わかってるよ。おれの、ために、うそ、つか、ないで。」  「ごめ、」  謝って結城に手を伸ばそうとすると、また遮られる。  「い、いの!けいたの、そういう、とこも、りかいして、付き合って、るん、だから。」  くしゃくしゃに顔を歪めても泣いていることを認めたくないのか、結城は涙を拭かない。  一度止めた手を、伸ばす。  「ありがとう。」  結城の涙を拭ってキスをする。  「俺、結城が好き。」  またポロリと溢れた涙を拭う。  「…ルイのことも、好き。」  俺の言葉に結城は静かに頷いた。  引き寄せて、抱き締めると、結城は俺の肩を濡らした。

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