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名前 6

   「りん。」  「ひゃっ!」  名前を呼ぶと大袈裟かと思うくらい、リアクションをする。  「ねぇ!」  片耳を抑えたまま振り向くが、もう片方の耳は真っ赤だ。  元々耳が敏感なことがあってか、余計に反応する。  「どうしたの?」   俺はそれを知らんぷりして話す。  すると軽く睨みつけられる。  「もう名前呼ぶの禁止!!」  「りんから言ったのに?」  「なんでも!!」  よほど心臓に悪いらしい。   名前呼び期間は一日で終わり、代わりに最中で名前を呼ぶようになった。

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