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名前 5※
結城視点
「りん」
「んぅ!」
俺の中に、圭太が入っている最中、何度も名前を呼んでくる。
急に耳元で囁いてくるもんだから心臓に悪い。
からかって呼んでいるのがほとんどだろう。
口がだらしなく空いていながらも睨みをきかせても、また名前を色気たっぷりに呼ばれるだけだった。
「ん…りん…りーん。」
「あっ、やっ!圭太!けぇ、た!」
名前を呼ばれるから、それに応答して、俺も何回も呼んでしまう。
何回呼んだか分からない。
何回呼ばれたかも分からない。
「結城」と呼ばれた回数をもうとっくに越しているような気がした。
「あっ!まって!圭太!イくっ!」
そう言ったら、圭太の動きがさらに激しくなる。
「あっ!あん!」
圭太の顔が近づいてくる。
キスかと思って目を瞑ったが、気配は隣にきた。
「りーん。」
「……!」
目を瞑って、五感の一つを遮っている中、耳元で響いてくる俺の名前。
あっけなくいってしまった。
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