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第11話
「あー!圭太におかえりなさいってやってない!」
朝シャンからでると、結城が真っ先にそう言う。
「ごめんね、帰るのが遅くなっちゃって」
「ルイも起こしてよー」
「え、ぼくのせい?」
「はは、また今度やってよ。」
「うん、そうする。ねえ、今日の昼は一緒に食べれそう?」
最近は昼休みも風紀室にこもっていたなと思い出す。
「うん、大丈夫だよ。食堂で待ち合わせしよっか。」
食堂に着くとルイを見つける。
小柄でも、なんとなくオーラのあるルイはすぐに見つけられる。
「ルイ。」
「ルイ〜」
スマホをいじっていたルイは声に気がつくとすぐに駆け寄ってくる。
「ごめん、待った?」
「ううん。全然」
そこそこ並んでいる列に3人で並ぶ。
食券を渡してそれぞれ別の場所で、料理が出てくるのを待つ。
「委員長って天野と付き合ってるのかな?」
「や、どっちも遊びってことじゃない?」
本人達は聞こえていないと思っているのだろう。
後ろの声が聞こえてくる。
学校で俺のこのような噂が広まっているのは知っていたが、実際に聞くのは初めてだった。
「やっぱ?なら他にもいるのかな、セフレ。」
セフレじゃないんだけど。
ぎゅっと握り拳をつくってしまう。
「委員長なのに意外と遊んでるんだね」
「今までそんなイメージなかったのにな、なんか残念。」
「結城も天野もかわいそー。」
矛先が結城とルイに向いて殴りたくなった衝動よりも先に、俺の頼んだ料理が出される。
何もないようにそれを受け取る。
「こんにちは」
「ひっ…」
振り返って噂話をしていた彼らに挨拶をする。
顔を覚えるだけ覚えたら目を離し、2人と合流する。
「おまたせ」
「どこで食べる?」
「天気いいし、テラスで食べよ」
「いいけど、圭太、天気は良くないよ?」
2人にあんな話を聞かせたくなくて、人気の少ないテラスで食事を取ることにした。
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