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感謝を君に

「産まれましたよ。ありがとうございます。お疲れ様でした。」 悠斗(はると)くんの優しい声が聞こえる。 額にキスされて髪を撫でられる気持ちいい感触。 汗で張り付いた髪が顔の辺りでモゾモゾするから、鼻が刺激されて、くしゃみが出そう。 ……っ!くしゅっ! 腹にチカラが入って、いたたと呻く。 それで目を覚ました俺。 筋肉痛やばい。 「優一さん!」 涙目の悠斗(はると)くんがいる。 「悠斗(はると)くん……ごめん……記憶ない…どうなった?」 ギュウギュウ俺を抱きしめる悠斗(はると)くん。 「無事産まれましたよ。男の子です。優一さん身体は大丈夫ですか?なんかおかしいところはないです?」 ちょっとポーっとなってて返事が出来ない。 ナースコール押して、あ、気がつきましたとかなんとか呟いてる悠斗(はると)くん。 スタッフさんが状態チェックに来てくれた。 「時間を置いたら赤ちゃん連れてきますから、少しダンナさんとゆっくりしててね。」 って言い置いて出て行った。 ……よかったぁ。 無事産まれたんだ。 だいたい、破水したのもわからなかったし、カンガルーケアしたかったのになぁー。 でもすごい充実感と達成感。 それにしても、産まれた我が子も見ずに寝こけた俺って。 やっぱ間抜けだなー。 「ごめんね、体力尽きて最後の最後に寝こけちゃった。恥ずかしいヤツ、俺ってば。」 ん? 悠斗(はると)くんのポカンとした顔。 続いてくすっと笑いながらも涙を一筋見せながら教えてくれた。 「優一さん、寝こけたっていうより出産直後に出血が多くてブラックアウトしたんですよ。焦りました。」 「うそっ……」 確かに左腕……輸血パック繋いである。 「止血も済みましたし、目覚めてくれて本当によかったです。」 気を失っていた時間はさほど長くもなく。 俺自身はそんな大事とは思ってなかった。 傍に寄り添う悠斗(はると)くんが、俺の頭をすりすり撫でてくれてるのが心地よい。心地よ過ぎて瞼が閉じそうなんだけど。 あぁ悠斗(はると)くん。 なんでこんなに安心するのかなぁ。 はぁぁぁ。 「……優一さん。お願いがあるんですが。」

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