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番の印をつけるまで(5)
きゃっきゃと笑いながら、ペチペチと顔を叩かれる。
龍はご機嫌らしい。
時刻は16:31
30分程前から、身体が熱く滾り出している。
はぁ……。吐息も熱く感じる。
これ、絶対発情期始まるよね。
もう始まってるか。
予定がズレる事なんて今までなかったけど、今回は出産後の初めての発情期だし、一日くらいズレるのは、誤差の範囲かな。
リビングの……毛足が長くて広いラグマットの上で、龍とゴロゴロしていると、
ピー
がたん!
ガチャガチャ
ごっつっ
「イタ!」
バタバタバタバタバタバタ!
ん。
これ、玄関解錠して慌てて入ってきて、どこかぶつけながらリビングに向かって走ってきてる音。
悠斗 くんかなー。
むふふ~。
はるとく~ん。
そう心の中で呼びかける。
カチャ。
リビングのドアが開 く。
リビングのラグマットの上でトロトロになってる俺を、機嫌良くベシベシ叩く龍。
そんな光景を目にした、息の荒い悠斗 くんは……ふぅと息をついて少しだけ落ち着くと、静かに頬を赤らめて……。
じぃ………………。
またまたねっっっとりとした視線で、俺に目を合わせてきた。
リビングのドアを開けたまま、固まった悠斗 くん。
俺の思考回路は既に機能を低下させていた。
悠斗 くんは……。
スマホを操作して耳に当てると。
「すまないが上まで上がってきてくれ。龍を頼みたい。ああ、無事だ。……わかった、頼む。」
こんな会話をしていた。
だれだろー。
「龍、おいで。」
愛息子を抱き玄関に向かう悠斗 くん。
玄関の隅に置いといた、龍のお泊まりセット。
持ったかな。
リーンゴーン……。
だれかきた。
はるとくんとだれか、げんかんではなしてるみたい。
バタン。
カチャ。
バタバタバタバタバタバタ!
カチャ……。
玄関の鍵閉めて廊下走って戻ってきたな。
再びリビングのドアが開 く。
いつも冷静沈着なクセに今日は廊下走りまくりだよ。笑える。
「はるとく~ん。」
「優一さん。遅くなりました。」
「はるとく~ん。だぁいすきぃ。」
「……寝室、行きましょう。」
なんか心做しか前屈みになってない?笑
ゴロゴロと転がってる俺を優しく抱き上げると、ベッドへ連れて行く悠斗 くん。
これから先。
自分が自分でないような。
頭の片隅に、ドライブレコーダーのように記憶を留めてはいるが、俺の身体は本能のままに悠斗 くんを求めて、性を開放した。
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