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プロローグ 俺は腐男子である

 俺を端的に表すなら腐男子である。  腐った姉がいたわけではなく、間違えて見たファンサイトが腐っていたのがきっかけだ。そこからBLというものにズブズブ沼っていって、中学生にしてネットにあるオリジナルBLを読み漁るのが日課だった。  中3になる春休みに高校をどうするか悩んでいたら、たまたま発見してしまった。パンフレットを読んでも、サイトを読んでも、どう読んでもいわゆる“王道BL学園”と呼ばれるタイプの高校を。  生徒に自治を任せて、全寮制で、市街地からだいぶ離れた山の上にある男子校。生徒は社長の息子や旧家の跡継ぎといったお金持ちが普通の学校より多いしスポーツ特待生は未来の代表候補だとか。  腐男子として興味があったから入学してみたい…でも、そんなことで俺の人生のルート選択をしていいのか?パンフレットを前に悶々と考えていたが、その様子を見ていた父親の、  「この高校に行きたいのか?ここからならお前が行きたがってた大学に推薦で入学できるかもしれないんじゃないか?」  という一言で決定することにした。そういえばそんなこと言ったことがあった気がする。父さんサンキュ。  ちょーっと俺には偏差値の高い学校だったが、死ぬ気で勉強して一般受験から入学を勝ち取った。合格書が配達された時に、母さんがちょっと苦い顔をしていた理由は後々になってわかった。

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