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『出会い』

 密着する身体の間には互いのTシャツがある。肌が重なったのは最初の時だけだ。  ホテルでのあの、最初の時だけ。  グッと、先端が入り込むのに、息を詰める。 「……んっ……ああっ……」  園田が突っ込むのに合わせて、腹の間にある僕のモノを擦り上げた。  力が抜けるのに合わせて、グッと突き入れられて仰け反った。  グッと声を堪えた時だった。微かに足音が聞こえた。 「……んっ……園田……」 「何だよ……名前なんか呼んで、もっとか?」 「……んぁっ……違うっ……足音、足音がする」 「誤魔化すなよ。休日に誰も校舎にいるわけ無いだろ」 「聞こえたっ……聞こえたって」  園田の肩を叩くと、園田が黙って耳を澄ませる。  ソファーに背中を付けたまま扉の方に視線を向けた。ドアには擦りガラスがある。そのガラスに人影が映った。 「……んっ……」  園田もそれに気が付いて、「ちっ」と舌打ちした。 『コンコン』  ノックの音が聞こえて、「誰かいませんかぁ~」と声が聞こえた。園田が自身をゆっくりと引き抜いた。熱く滾った身体は、他人の介入に一気に冷めた。 「……誰だよったく……。待ってろよ」  園田は服を直しながら扉に向かっていく。扉の向こうからは「すいません。迷ってしまって……」と聞こえていたが、園田が、「何だよっ」とすごんだ声と同時に扉を開くと押し黙った。 「す、すいません。校内で迷って……寮に帰れなくて……」 「ああっ?」  園田の凄みに相手は完全にへこんでしまって、声も小さくなっている。

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