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『女王様と呼んで』
「ベッドがいい。甘やかして、優しく抱いてよ」
「んっだよ」
園田が憎たらしげに呟いて、「かなわねぇな」と起き上がった。
そして僕も引き起こす。
「女王様」
言われて笑う。
「うん。いいよ。テツだけに甘えるから」
女王様と呼んでいて。甘えるから。
「俺だけの女王様」
園田が言いなおして、額に口づける。
「愛してる」
「………泣きそう」
「勘弁してくれよ」
園田はそう言うと、「もう黙れ」と言って床に置いた本を拾って、「現実味が無くても我慢できる」と開き、「授業行ってこい」と言った。
「分かった。また、放課後ね」
園田は現実味の無い本に逃げ込み、僕は授業に逃げる。
愛しさに溺れてしまいそうだから。
ふふふ。
(おわり)
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