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『女王様と呼んで』
園田の言った意味はよく分かっていた。それをわざとはぐらかせたのだから。
床に寝かされて、頭の下には園田の腕。
「誰かに見られたくない」
もう、僕のものになったんだから。誰かに見せつける必要もない。僕だけが知っていればいい。
園田の熱い眼差しも、欲望に掠れた声も。優しさも。僕だけが知っていればいい。
「俺は、見せ付けたいんだ」
「何で?」
「女王様が俺の物だって、見せ付けたいんだよ」
軽く口付けながら園田に言われて、「僕とは逆だね」と答えた。
「僕は、もう、誰にもテツを見せたくないんだよ」
「なんだよそれ」
園田は照れたように呟きながら口付けを繰り返す。腰を擦り付けられて、快感に甘く反応しているのを感じながら、「僕だけのものでいてよ」と強く抱き締めた。
「こんなに甘えただなんて知らなかったなぁ」
愛しさを含んだ声。
「だから、こんなところじゃ嫌だ」
愛しくて、愛しくて抱き締める腕に力を込める。甘く穏やかな時間に涙が溢れそうになる。
「なんて顔してるんだよ」
頬をなでられて、その手に擦り寄る。
「アズ」
欲望を含んだその声に余計に煽られる。
「……テツ。好き」
「ここじゃ嫌なんだろ?」
「うん」
頷いた。一回じゃ止まらない。愛しさを埋めるのに一回じゃ収まらない。
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