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第5話

今年は夏の陰りが早く、だいぶ涼しくなってきた9月下旬、この学校にも文化祭があります。 私の通っていた公立中学も私立中学も文化祭はありましたが、勉強の一部としての文化祭で調べたものを発表するようなものでした。 ですが、高校の文化祭は違っていました。 「一年六組の催しものは、執事喫茶になりました!!」 要するに家政夫みたいなものですよね? 「知ってるか?!三年二組の先輩達のクラスも執事喫茶だって!!」 「ヤバイな!!……そのクラスって杉原先輩がいるクラスじゃん」 ふと、隣の席から耳に自然と入ってきました。 (……何故でしょう?同じ催しものではいけないのでしょうか) その隣の席の生徒は頭を抱えていました。 「よりにもよって杉原先輩のクラスどダブるなんてサイアクじゃん!」 その前の席の生徒も聞こえていたらしく同調していました。 「女の子持ってかれるな……」 「むさ苦しい私立の男子校で、唯一他校の女の子が来る文化祭なのに」 ……私は内心笑ってしまいました。 (そうですか、だから執事喫茶なんですね) 女子はそういう支える、魅力的な紳士が好きだと、生前お祖母ちゃんが言っていたのを思い出しました。 『おちゃめなお祖父ちゃんも、私の前ではとても尽くしてくれる『紳士』なのよ』 祖母のその時の笑顔を思い出して、私はクスッと笑ってしまいました。 「あ、叶さん……笑った!!」 「男子校唯一の潤いに笑われた」 何か私が笑ったらおかしいのでしょうか? 「いえっ、私は貴方に笑ったわけではなくて……」 それでも、笑ったわけを教えるわけにもいかずにいると、 「でもウチのクラスには笹倉さんがいるし!」 「校内一の美少年がいればなっ!!」 ……よくわからないですが、どうやら私たちのクラスも変更せず執事喫茶をやるようです。 しかし、彼らが私に言った『潤い』とはなんでしょうか? それに関しては今の私には知りもしませんでした。

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