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第11話 雨を願うてるてる坊主。
私は今日生まれて初めて授業をサボりました。
その行為がとても後ろめたくて、文化祭の用意の後に図書館で勉強をしようと思っていました。 それなのですが、
「笹倉、悪いけど本物の執事喫茶一緒に見に行ってくれないかな?」
確かクラスメイトは……クラス委員長だったと思います。そして、多分班長の三人です。
私が行かずに断ったとしたら、クラスの輪を乱すことになるのでしょう。
もしかしたら催しをも台無しにすることになるんでしょうか。
(……仕方がないです)
「分かりました。では図書館で本借りてから行くので、先にお店に行っていてください。私も後から行きます」
「叶さん、場所分かります?」
なんですか……この反応は?
(住所さえ分かれば私でも行けます)
私はあまり表情を崩さないように笑顔を保ちながら返答をしてみました。
「私も地図があれば行けます」
「でも叶さん、電車乗れるんですか?」
私が世間外れに見えるんでしょうか?
……これはやはり乗れないと思ってるんでしょう。 これでも公立中学は徒歩で、一応私立中学は電車で通っていたのですが。
(まぁ……『笹倉』ですから。そう思われるのは仕方がないです)
内心でそう考え直して、私は従うことにしました。
「では、少しだけ昇降口で待っていて貰えませんか?図書館で本借りてから行きます」
私がそう言うと、クラスメイトは心配そうな顔から笑顔になりました。
その笑顔を見て私は考え直しました。
(私を心配してくれていたんですね)
「わかったよ、叶さん」
「じゃあ昇降口で待ってるから」
と、図書館に向かう私に手を振ってくれました。 (クラスメイト四人を待たせているのですから、急がないと駄目ですね)
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