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第20話

それで、何故なのでしょうか? 交代の時間はとっくにすぎています、それなのに私は何故か教室に……店内にいるなんて。 (あと十五分で正午です……) 私は現時点の状態に内心慌てていました。 ……いつお父さんが来てもおかしくない時間になっていたのですから。 慣れていない執事をやる苦労は特にたいしたことはないのですが、 落ち着きません。 (晴れている日の学校でお父さんには会いたくないです) 公立中学で迎えた『あの日』を……思い出してしまいます。 『叶、何故こうなる前に報告しなかったんだ』 何故か女の子達は私を指名していきます。 『綺麗』と、私を見て言うなんてどうかしています。 こんな混血の私なんて。 ……どこの国の生まれでもないような、回りと見た目が違う日本人私を。 (……何処の国の人とも言えない容姿の人間です) 「叶、いる?」 「あ、杉原先輩!」 (え?杉原先輩が何故こんな時に……) ですが何故か、先生まで一緒にいました。 私は何かしてしまったのでしょうかと思いましたが、何か先生が焦っているようにも見えたので、別のことですよね? 「笹倉、三年の教室まで来てくれ」 「え、何故ですか?」 ここから抜け出せるのなら、それはそれで助かるのですが……。 すると杉原先輩は私の耳元で、話してきました。 「叶の親父をウチのクラスで足止めしてる」 「……ぇ」 「その方が楽デショ」 にっこりと先輩は笑います。 「何故、先輩が……」 「ここ、学校は一応は名門だってこと叶は忘れてる?」 (え?) 「忘れてはいないですけど……」 「笹倉!!」 先生は私達のやり取りにじれていた様子で、まくしたてられてしまいました。 「早くしてくれ!!」 「は、はいっ」 私達は急いで三年の先輩のクラスに向かいました。

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