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第23話

身体が一気に冷たくなりました。 「……ぃやぁっ!!」 あのときのことを、……思い出してしまったら、カタカタと身体が震えだしました。 直ぐに私の異変に気付いた杉原先輩は不思議そうでした。 「……叶?」 「……ゃ、やめてぇっ!!」 私は怖くなって、その場から逃げようとすると、杉原先輩が腕を掴んできました。 (怖いですっ!!) 「やめてっぃや……放して!!」 「……?!」 杉原先輩は、私の豹変に驚いていた様子でした。 「そうか、カメラはやはりまだ怖いか」 父さんは谷口さんにカメラを渡すのが見えて……。 それを見て、私はその場に座りこみました。 ……まだカタカタと身体は震えています。 「……杉原くん、叶がカメラを嫌う行為の原因を作ったのは……それが君の弟さんのせいなんだ」 「?!」 (……お父さんは、今なんて言いましたか……?!) 「叶と親しくしてくれていると聞いていたけれど、叶がそれを君に話せるだけの友情が出来てから『親しい』と言ってくれたまえ」 お父さんは椅子から立ち上がり、私の前にしゃがみ込んで、 「……このまま帰るか、叶?」 「…せ…ぃふくが、ぁるので……かぇり…ません……」 私は上手く話せませんでした。 「そうか。叶、あまり無理するな」 今更心配なんてしないでほしくありませんでした。 私は怖くて、……そのあとはどうなったのか覚えていません。

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