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第24話
(……あれ、私)
気が付いたら、私は保健室のベッドで目が覚めました。
「……かなえ?目ェ、覚めたね。良かった」
私はどうやら精神的な苦痛で気を失っていたみたいでした。
杉原先輩は私の寝ているベッドに肘をついてます。
「……」
「服はそのままで寝かしたよ。制服、教室から荷物ごと持ってきてあるから」
「……すぎはらせんぱぃ」
申し訳なさそうで真剣な先輩の声です。
「ごめん。……俺は何もしてあげられなかった」
「今……口、淋しくないですか?」
「しないよ。叶は……弱ってるのに、今俺は出来ない。」
先輩はベッドに寝たままの私を覗き込んできました。
「私は淋しいんです……口が」
私は縋りたい気持ちなんです……。
心にキズが付く行為を、何とか別のことで上書きしたかったんです。
「……そう。晴れてるし、約束だからね」
……。
杉原先輩は触れるだけ、口を合わせてくれました。
息継ぎをしてからもう一度口を合わせて、舌を絡めました。
それでも、私には足りる気がしません……。
……全く心が満たされない気持ちです。
心のキズが癒されません。
(やはり……私は『晴れの日は嫌い』でした)
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