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第76話

「あの、……先輩」 「俺は叶を求めたいけど、叶からも俺を求められたいし」 「私が求めたらいつでもくれるんですか?」 「いいよ、あげるよ。叶が俺を求めてくれるなら、いつでもあげる」 杉原先輩はとても綺麗に笑っています。 それを見たら私は急に泣きたくなってしまいました。 私は分かりました。 私は自分のこの気持ちが、杉原先輩を想うこの『特別』と思う気持ちの名前がやっと理解出来ました。 「……うっ、……っうぇっ……っ」 私の目からまた大量の雨粒が溢れ出はじめました。 「えぇ?!叶っ……なんで泣くのっ?」 先輩は悪くないです!! ……そう言いたいのに、溢れ出てくる雨粒に苛まれて言えませんでした。 「ゴメンね!!叶、いい子大好き愛してるから泣き止んで?」 と、先輩は乱れたままの洋服を整えてくれて、抱きしめて慰めてくれましたが……私の雨粒は小春さんがとびきりのお茶菓子を買ってきてくれても中々止まりませんでした。

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