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第1話 プロローグ、レン

 高校生になって、新しい生活が始まる。 新しい通学路、新しい校舎(校舎自体はもう古かったけどね、行ったことがなかったという意味です)、新しいクラスメイト、そうして、新しい生活。 桜舞い散る…なんて歌詞が、そのままの風景なことに、そんなちょっとしたことでも感動を覚えたものだ。  クラスは30人くらいの、まあまあ多い人数のクラスじゃないかな。進学コースじゃないからかもしれないけど。そっちのクラスは、もう少し少なかった。東京の大学に向けての勉強をするクラスだったから、やっぱりそういう見た目の人が多い。 こちらのクラスは、卒業したら就職するコースだったから、カリキュラムもそういう内容で揃っているし、そういう見た目の人がやっぱり多い。 そうしてクラスの名前を覚えていくうち、やっぱり同じ名字とか同じ名前とかを気にする、よね?読者さんたちも、そうだよね? 名字が同じ人とかは、だいたい想像がついたから省略するけど、名前が同じ人はいた。健太とかゆうた(漢字は違うけど)とか。 そうして俺も、同じ「蓮」という名前の人がいた。ただ、イメージはちょっと違ってたね。  俺はスポーツ系の活発系(って言われた)。中学はバトミントン部だったので、ここでも同じところをやろうかと考えている。 一方の、あちらのレン(紛らわしいので、カタカナ表記で)は、文系なのかな?部活はやってないみたいで、普段からあまり話すことがない。まあちょっと暗いイメージだね。 だからあまり接点がないので、話す機会もめったに無かった。 だけど、イベントなどがあると、そういう(言っちゃ悪いが余り物の存在の)レンは、人数の調整要因として他のグループに入ることがある。たまに…というか、よく俺のところに入れさせられることがあるんだよな。 「だって、同じ『蓮』だから」 という、一年の春の先生の一言があってから、たびたび一緒に行動することがある。テントに入ることや、温泉に一緒に行くことや、学祭の催し物や。 スポーツイベントで背の順に並ぶ時は、俺とはずいぶん離れる。それくらい背の違いがあるんだけど、同じバトミントン部のクラスメイトが、背の高さがほとんど同じで、そちらからレンの話を聞くこともあった。 意外や意外、レンってスポーツ全然やってないのに、体力はあるようで、バレーボールで一番走り回ってたというし、5000m走はスタートが一番遅かったものの、ペースが全然落ちなく、結果4位でゴールしたし。 そういう(陰ながら)な場面がいくつかあったけど、普段はというとやっぱり話題は無く、クラスでもポツンとしていることが多く、下校時も独りで歩いているところをよく目にしている。 空気感、というと、まあ、あってるかな?という感じで、居なくてもさほど変わらないといった存在感だった。 『だった』のに。 この二年生の夏、そのレンが、存在感のイメージが変わった。 すぐそばに、誰かかれか、女の子が付き纏うことになっていたのだ。

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