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第2話 周りの女子の心境

 ある日。何の変哲もない、平日の朝。 俺が教室に入ったとき。 いつもなら誰かいるので「おーぃっす」とか声をかけるんだけど、人だかりができてて、声を掛けづらくなった。 その場所はレンの机がある場所だ。レンは朝のうち、けっこう早めに来ていることが多い。俺は授業が始まる15分くらい前が、だいたいいつもの時間なんだけど。 レンが普通に席に座っているんだけど、その周りに4人の女子が取り囲んでいた。 周りの男子たちに「なんかあったのか?」と聞いたが、誰も理由が分かっていなかった。 まあ、なんかあったんだろうかと思って、さほど気にしなかった。 次の日。 教室に入ると、レンの席に2人の女子がついていた。女子はしゃがんで、机に肘をつくような格好で、ポソポソとなんか喋っていた。 そして金曜日。 今日は3人。3日連続で女子に囲まれてるなんて、俺もそうだがレンも初めてじゃないのか? それに女子の一人は机に片ケツ乗せて(ごめん、言い方悪かった?)、それで微笑みながら(愛嬌振りまいてんのか?)って思うような仕草を時折見せながら(…そうだよ、それくらい、ずっとその様子見てたんだよ。俺もその時に気がついたけど)、レンに近づいていた。 「なあなあ、レン、なんかあったのか?」 周りに聞いてみたけど、みんな首を傾げるか横に振るか、しか出来なかった。 ちょーっと気になってきたので、ここは昼休み、本人に声を掛けてみた。 「なあなあ、一緒に昼飯食べない?」 授業が終わって真っ先に声を掛けた。周りの女子が行動する直前に、レンの横に滑り込んで、周囲の行動を阻止した。バトミントンの俺の足腰が、こんなところで役に立つとは。 「おっ、いいね。行こうか。」 と、レンの快諾ももらい、俺は心の中でヤバっ!って思った。ちょっと体が震えたね。  うちの食堂はそこそこ大きい。400人くらい入るくらいのスペースがある。だけど座る席って、ほとんど変わらないみたいで、全体的に指定席になってるようなものだ。 そんななか、俺とレンはあまり座っていない端っこの席をとって隣り合わせで座った。…だって、向かい合ってたら、話が聞こえちゃうだろ?だから皆とは背中向きで、正面は窓を向いている位置だ。だからコソコソ話は丁度いい。 「えーっとさ、えーっと」 「珍しいね。蓮が僕を誘うなんて。」 と、下の名前で話してくれたとき、ちょっと嬉しかったなあ。でも、レンってこんなキャラだったっけ? 「あ、まぁ、な。」 「アレでしょ?最近の僕の周りが、気になってるんでしょ?」 レンの方から切り出してきた。俺にも思いもよらない、大胆発言に聞こえた。 「え、え?なんで判った?」 「判らない訳が無いでしょ。」 「あー、ま、そりゃそうか。」 「だって、急にあんな状況になってるんだもん、クラスの中でも浮いちゃうだろ。」 もってきた食事を食べ始める。俺もその様子を見て、ご飯を口に入れる。 「あー、もう離れてくれないかな。もういいと思うんだけどなあ。」 「なあなあ、なんでこんなモテてるんだ?なにかヤったのか?」 「わからない」 「は?」 俺は、夏休みもまだ来てないし、平日の途中なのに、いきなり状況がガラリと変わった、なにかの原因があると踏んだんだが、 「なんでこんな女子が寄ってきてるのか、原因がわかんないんだよね。」 なんて抜かしやがる。 「なんだそれ?SNSとかでなんか書き込んだんじゃないのか?」 「僕は滅多なことって書いてないんだけどね。炎上することもやってないよ。だいたい見てるだけだもん。」 「だって、今日で3日連続で迫られてるんだろ?その前の時はなんかやったのか?」 「火曜日には、僕はなにもツイートもリツイートもしてない。インスタはやってないし。LINEも見てただけだし。」 …じゃ、ホントに原因はわからないのかな? 「…、それに、」 と、レンは人差し指を後ろの方にチョンチョンと指した。 ふっと振り返ると、クラスの男どもが6人くらい、いつのまにか背後に集まって聞き耳を立てている。 「どわっ?なんだお前ら?」 という俺の声が食堂中に響いてしまった。400席の皆がこっちを向いた。 「あーバレちゃったw。」 「蓮が抜け駆けしたと思って、急いで来たんだよ。」 「向こう向いてたから、俺達のこと気が付かなかっただろ。そんな座り方してるんだもんな。」 なんだい、せっかくいいポジションだと思ってたのにと悔しがったが、レンは様子が判ってたようで、涼しい顔をしたままで 「…、ま、そういうことで。」 と、食事を再開した。  レンが判らないんじゃあ、あとは女子に聞いてみるしかなさそうだな…と考え、3日間とも付き纏っていた女子に聞いてみようかと考えた。3日とも居たのはこの子だけで、他の子は1日だけだったりする。つまりこの子が一番の追っかけなんだ。 「あら〜、蓮くんから声を掛けてもらえるなんて、今日はいい日だわw」 いや、そういうのはいいから、と思った。 この子は、噂だけど、腐女子だという。図書館にも数少ないその手のジャンル本を探し当て読みふけっているという。近所の書店で出会うときも、そのコーナーにいるという。噂だけど。 「で?私に何の用事?(私立探偵風に)」 (あ…、噂って、本当なのかも…) 「えっと、最近、レン、あ、あっちの、な。レンに近づいてるのって、なんかあったのかな〜って気になってさ。」 って話してる途中から、ちらっと俺の顔を覗き込んで、 「あ…、ふーん、…、ふ〜んんん、んふふ」 なんて声を出すんだよ。 「おいおいなんだよ、気持ちワリぃ言い方して」 「あぁあ、ごめんごめん。ちょっとね。…えっと、レンくんに近づいた理由?」 覗き込んだ顔つきも視線もそのままじっとしていて、 「別に無いわよ。」 「…は?」 と、すすっと後ろに下がって、くるっと体を返した。 「まあ、最近、あのレンくんって、可愛いところあるなーって感じたのよね。…うーん、理由って言ったら、それかなあ。」 なんだそりゃ?それで他の女子も巻き添えて寄ってたのか? 「あ、私は、よ。他の人たちはまた違うみたい…、…かな?」 ん?なんか『ヤバいこと言った』みたいな顔になったけど? 「ま、私に言えることは、それだけよっ。(アイドル風に)」 と、タタタッと小走りに去っていった。やっぱり、あの子、噂通りだな…。 これじゃ、なんの解決にもなりゃしない。 じゃあ、もう一度、レンに聞いてみるか。今度は二人で。そうすれば、なんか話せることが出てくるかもな。

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