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第3話 妄想掻き立てる一枚

 この土日、部活の練習があって、俺は学校に来ていた。夏休みには大会もあるし、けっこう忙しいんだよ。 なので、部活の間はレンのこともすっかり忘れていたんだけど、帰ろうとした時に思い出すきっかけを、男子メンバーから寄せられた。 「なあなあ、…コレって、なんか見たことねーか?」 って、スマホを取り出してきた。パット見、裸の写真だ。 一応、学校にスマホ持ち込みは禁止されてないし、俺達だってエッチな画像くらい見る。もちろん親にも学校にもナイショだけど。でもネットで検索したら、いくらでも出てくる。未成年フィルタなんてザルだから、見放題だというのはもうみんな知ってる。 だから俺達だって、また新しいのが出てきたか…程度に思った。んだが。 「なあ、コレ、どっかで見たことねぇか?」 と、もう一回聞いてくるので見てみると、 「…、えーと、レン、かな?まさか?」 その写真は、全身裸の後ろ姿で、どっかのベッドの上で寝転んでいる格好で、布団も枕もないシーツの上で、うつ伏せというか背中(つまりお尻も)を見せているんだけど、顔も伏せている。が、黒髪型や低い背格好や子供のような顔の輪郭から、 「レンみたいだなあ…。」 「やっぱり、そう思う?」 「これ、どっから出てきた?」 LINEの女の子から見せてもらったときに、あげるねと送ってきたという。 「他にも何枚か持ってたみたいだけどな。」 俺達だって着替えの時は、パンツまでびっしょりなんてこともあるから、全部脱ぎ捨てて着替えというのはよくある話。それを面白半分で写メ撮ることも、まあ、ある。 くらべてこの写真は、エロさがあるw。 「あのレンだったら、ちょっとイメージ変わるかな。」 「お地蔵さんみたいなキャラだと思ってたけど、見てないところでこんなこともするんだな。」 「ホテルだったらセックスしてるところか?」 「でもあいつの小さいから相手出来ないだろ。」 「どう見ても中学生小学生だもんレンって。」 「じゃこの写真はどんな時のだろ?」 「ヌードと分って撮ったのかな。」 「だから顔見せてないんだろ。」 ざわざわと更衣室に渦巻くこの空気感。 みんながこの一枚を覗き込んでいる。 「…だけど、」 俺が思ってることを、言ってみた。 「…これが、レンだという証拠はない。レンじゃないかもしれないな。」 一瞬、シン…という音が響いた後、 「…そうだよな。そうだよ。」 「てっきりレンだと思ってたけど、別人かもしれないし。」 と、堰を切ったようにぎこちない空気感に入れ替わった。 「ま、もう帰ろっか。」 そうしてその場はお開きになった。 帰り際、その写真を俺のスマホに送ってもらった。 家に帰る間に、その写真をじっくり、じっくり眺めた。 この真後ろからちょっと首を振り向き加減な角度の横顔、耳の形、うなじのライン、こりゃどう見たってレンじゃねぇか。 …エモいぞこれ。 ボッと顔が赤っくなるのを感じた。 これが裸の写真だからじゃない。レンだと思ったからだ。 …ん、いやいや、逆じゃね?なんか変だろ。 「あれ?蓮?部活帰り?」 レンの声がしてギョッと飛び跳ねた。 「ぅわっ?レン?どーしてここに?」 「あーあ、スマホ落としちゃって。割れたらどうすんの。」 と、飛び跳ねた表紙に飛んでったスマホを拾ってくれた。そしてあの画面を見られた。バッチリと。 「…あ、これ?」 ばっと取り返してすぐに仕舞う。なんかすげー恥ずかしくなって。 「あ、いや、バト部(バトミントン部の略)の奴らが見ててさ。なんかすげーエモくてさ。ちょっと見てたんだよな。アイツらこんな写メ送ってきてイタズラ好きっていうか」 「それ、僕だよ。」 「…、え?」

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