僕は嘘をついている。 好きで好きでたまらないから、嘘をついた。 「んッ……んぁ、ッ……」 ぐちゃぐちゃと粘着質な音を響かせて僕を組み敷く男が目を細める。 「ここ好きだよな」 弱い部分を擦られながら舌を吸われた瞬間目の前が白み、戦慄く姿を見ながら男はまた更に奥へと腰を打ち付けた。 「だめ、いく……あぁッ」 「イけばいいよ」 「んぁッ……」 肌が触れるだけで胸が高鳴る。唇が触れ合えば尚更、色気に当てられて息をするのも忘れてしまうほど、この熱を知りたかったから僕は嘘をついた。 この恋い焦がれた男、相沢(あいざわ) 和真(かずま)と言葉を交わしてみたくて。そして、触れてみたくて。 気を抜いてしまうと好きだって気持ちをさらけ出してしまうから、なけなしの理性を搔き集める。 人生は駆け引きだ。強いものが勝ち、弱いものが負ける。それは恋愛も同じ。 好きだという気持ちが大きくなればなる程、終わらせなきゃとも思う。 だから今日こそはと心に決めていた。