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第3章 第2話(14)

「可能なかぎりこういった会議に参加させてもらうのもその一環なの。まだまだ勉強不足で、わからないことのほうが多いのだけれど」 「お元気になられて、よかったですね」 「ええ、本当に。だから先程のあなたの質問にもとても興味が湧いたし、取り組んでらっしゃる研究自体にも関心があるの。そういうわけだから、今度ぜひ、ゆっくりお話を聞かせてちょうだいね?」  小首をかしげながらも、念を押すように言われて群司は了承する。令嬢は、坂巻とその場に残っていた社員らにあらためてねぎらいの言葉をかけると、早乙女を従えて会議室を出て行った。傍らで、ふうっと坂巻が息をつく。群司はもう一度、お疲れさまでしたと声をかけた。 「いや~、さすがは群ちゃん。すっかりお嬢様のお気に入りだね」 「なに言ってるんですか、俺はオマケみたいなもんですよ。すべては坂巻さんたちが成果を上げられた結果です」 「まあね~、俺らもそれなりに頑張ったからねえ。とはいえ、会議はじまるまでは結構自信満々だったんだけど、途中のツッコミがヤバくて正直焦ったんだわ」 「そうなんですか?」 「そうだよ~。薬理研究の早乙女くん。噂には聞いてたけど、ありゃ想像以上の切れ者だな」 「主任、ちょっと声、上擦ってましたよね」  背後で片付けをしていた坂巻班のひとりが笑いながら言った。 「いや、あれはだれでも焦るっしょ」  思っていた以上にきわどいところを突っこまれたのだと、坂巻はげんなりぼやいた。 「早乙女さんとは、これまで一緒に仕事をされたことはなかったんですか?」 「あ~、ないねえ」  坂巻の答えに、坂巻班のメンバーも「ですよね」と同意した。 「おなじ創薬本部でも、意外と交流ってないものなんですね」 「まあそうねえ。うちの会社もそれなりに規模がでかいからね。それでも、こうして開発に携わる部署にいるわけだからさ、そこそこやりとりはあるんだけどね。彼の場合は途中入社でちょっと毛色が違うから、いままで一緒する機会がなかったわけ」 「途中入社?」 「うん、そう。たしかうちに来てまだ、二年とか、そんなもんじゃなかったかな」 「え? そうなんですか?」  群司は驚いた。

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