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第17章 第2話(11)

「あまり口にはされないけど、だいぶ悔やまれたみたいだね。もっと早い段階で自分にできることがあったんじゃないか、そうすればお兄さんを助けることができたんじゃないかって。まあ、それは僕らもおなじ気持ちだったけど」  本当に申し訳なかったと頭を下げる立花に、群司はかぶりを振った。 「いえ、最初の方針で捜査官同士の繋がりを持たないとされていた以上、しかたのないことだと思います。現に兄も、単独で動いていたわけですし」  立花はそうだねと頷いた。 「たぶん、それが間違ってたんだと思う。相手がひと筋縄ではいかないからこそ、僕らは互いに協力すべきだったんだ。いまさらだけど」 「でもおかげで、やっとここまで漕ぎ着けました」  田ノ浦は最初にエレベーターホールで群司を出迎えたときから、優悟の弟であることを見抜いていたという。  部長である門脇の片腕という立場にある彼には、来年、群司が『極秘プロジェクト』のメンバーに加えられる予定であることも、天城邸で開かれる創立記念パーティーに招かれていることも容易に知ることができた。それらの情報を立花らと共有することで、今日の潜入計画も立てたそうである。 「君のお兄さんと、君の頑張りによるところが大きいかな。それから如月くんも」  そう言って、意識がないまま群司に身を預けている如月を見て、立花は目もとをなごませた。 「優秀すぎるだけに、彼ひとりにかかる負担は相当なものだったからね。我々は下手に手が出せないし、接触もできないしっていう状況でだいぶ気を揉んでたんだけど、君が来てくれたおかげで本当に助かったよ」 「いえ、兄貴はともかく、俺は全然。ほんの少し手伝っただけなので」 「そんなことないよ。如月くんがこんなふうに全面的に安心しきった様子見せてるところ、はじめて見た。ここしばらく、会社で見かけても雰囲気がやわらかくなったなって思ってたんだよね」  おそらく精神的な支えができたことが大きいのだろうと立花は穏やかに言った。 「それから今日も、警察のほうにいろいろ手配してくれたでしょう?」  いまのこの状況は、それらがすべて功を奏した結果なのだと立花は群司の働きを評価した。  池畑を通じて新宿署の大島に託された音声データは、ただちに本庁の公安部にまわされたという。それによって田ノ浦たちに出動命令が下り、新宿署を中心に家宅捜索が行われるに至ったそうである。

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