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嫁入り7

元いた離宮へ戻るのを待っていたレオニードはぼんやりと外を眺めていた。 この場所では、好きに部屋の間を移動することもできない。 常に決まった通りに指示されたとおりに動かねばならなかった。 だから、こうやって控室で待ちぼうけを食らっている。 暴虐王と相対していた時間は周りを見るような余裕は無かったが、この部屋の彫刻はレオニードの国のものとかなり違っており、人と思われるものはみな不思議な形の帽子をかぶっていたし、竜のようなものも見える。 それは、レオニードに与えられた部屋の様式とかなり違って見える。 そこで、違和感があった。 彼に与えられた部屋は、どちらかというと自国の様式に近いものなのだ。 建物の配置も屋根の形も、柱の様子も何もかもがレオニードの生まれ育った故郷とは違っている。 なのに、完全に一致はしていないものの、レオニードの部屋は、使っている風呂は、食事は、彼の元々の生活に近いような気がした。 この国に来てユーリィの話を聞いた時、当たり前のように座ったソファーは故郷のものと似ていたからだ。 勿論働いている者の服装はこちらの文化なのだろう、袖のゆったりとしたものを着ている人間が多かったが、レオニードの国の生活に詳しい者がいたのかも知れない。 それが、輿入れた他国の姫君すべてに対する当たり前の対応なのか、それともこの皇帝だけが余りに沢山の人質をとらざるを得ない状況でのことなのかは知識の無いレオニードには分からなかった。 そのような事に気をかけるだけの余裕なんて無かったのだ。 人質としての価値が無いレオニードにだけなんてことは考えられないから全員にそうしているのだろう。 そう思ったレオニードは一つの違和感がかすめた。

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