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②
(ひ、陽向ッ!!!)
この間のキスの事もあるし、休み時間は何かにつけて俺の所に来るは、そんな状況を周りから冷やかされる毎日
日々の習慣から身構えるが、はいっと差し出された右手には…
「陰山に返すのあってさ〜これ、英語のノート!さっき貸して貰ってたの忘れてたから。
ありがとうッ」
「あ、あぁ…そっか、わざわざ」
「じゃあ…また明日な」
そう言って今にも雨の中を駆け出しそうな雰囲気
それだけ?と思ってしまい肩透かしを食らったのもあった
それに加え、傘を持たずに帰ろうとしている陽向をこのまま無視して、俺の妄想した様に奴が肺炎になり、はたまた引きこもりになってしまうかも
と、それが過り
思わず…
「お、おいッ」
声を掛けていた
「え?」
「あ…いや、その……か、傘…無いんだったら、入って行くか?」
「え?イイの!?陰山と一緒に帰っていいの!」
呼び止められた事に驚いた顔が、一瞬にして、ぱぁあと花が咲いたような笑顔に変わり
それがあまりに眩し過ぎて…
「か、かか勘違いするな。ついでだからだッ。俺の乗るバス停近くに駅があるし、1人で帰るのも2人で帰るのも一緒だからな。
た、たた、ただし、貴様が傘を持て。分かったな」
「うんッ」
気恥ずかしさを誤魔化すように傘を陽向に突き付けていた
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