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第1話 出会いは意外と突然に

当方甘えたい系Subです。 普段は優しい彼氏。夜は独占欲を見せてくれるご主人様いませんか? 依存しがちなので上手に導いてくださる方。 プレイとして床に座らされ食事を手ずからや飲み物を口から食べさせて貰えるペット扱いされたいです。 暴力的な方はごめんなさい。 アナルばかりの方、肉体的な改造を希望の方はごめんなさい。 SM希望ではありませんので最後は優しいく頑張ったねと褒めてくださる方。 明るく普通の会話が出来る方。 当方、性格も体格もおおらかです。大人しくもありません。相性が良ければ契約も考えたいので独身の方で身長180cm以上…176cm以上の方が理想…と 晴れやかな休日の真昼間に、俺、何やってるんだろう…とスマホ片手にDom/Sobの出会い系サイトでコメントを入力中。 『こんな時間にこんな所にくるいやらしい私な罰をお与えくださるのご主人様。躾けて下さるご主人様になってくださる方いませんか?』 これならいくらでも相手は見つかる…。 でも、俺の欲しいのはDomのパートナー 「これじゃあ…伝わらないかぁ…汚いのも怖いのも嫌なんだよなぁ…ねちっこいおっさんも正直嫌だし、若い子も自分本位になりがちで自分だけで盛り上がるもんなぁ…置いていかれるのは悲しい…」 こんな事を言う俺はSM出会い系サイトの常連だった。 現在進行形だけど…それでも純真無垢な頃もあったのよっ とは言っても、実際このSM色の強いサイトで出会った事はまだない。 希望はDomだ。 でも、こちらは健康維持が掛かってるから最悪はSの人に付き合って貰う。 Domの様なGlareも無いし、Rewardも威力的には20%程だけど無いよりは良い。 俺みたいな体格の良いSubの相手をしてくれるDomはボランティアの熟年のおっさんが緊縛で道具使って相手してくれるか、小柄で身体的にコンプレックスの塊の様な暴力的なドSなDomくらいだ…でも俺は痛いのは苦手、目隠しも苦手、分かりやすく言うととにかく甘えさせて貰いたいSubだった。 ピロロンピロロンピロロン♪ うわっ!といきなりコールし始めたスマホを落としかける 『おい、りょーた。何してる〜?  また、陰キャよろしくSMサイトでご主人様  漁ってんの〜?』 くっそ明るい声がスピーカーにしなくても響く。 コレでスピーカーにしたら隣の家にも聞こえてしまう…と耳が痛くなるのを覚悟してそのままスマホを耳に当てる。 『【報告(Speak)】』 「!」 電話の向こうの声音が変わり指が震えた 『感じてんじゃないよ、変態。  泣くなよ。  3秒以内に報告!い〜ち、に〜』 「あ、その通りです…」 『…その通りって?』 「出会い系…サイトで…ご主人様…探して  いました…」 恥ずかしいっ!今すぐ電話を切りたいっ 『電話切ったらお仕置きだからね。  りょーた。違うよね?』 「?!」 何でオフボタン押そうとしたのバレた?! 何が違うんだ? 『今電話切ったら辛いのはりょーただよ、  ほら、言いな。  私、風間涼太はこんな晴れ渡った休日の  昼間から厭らしく盛ってしまう浅ましい  Subです…ってね。ほらっ、早く! 【Say(言え)】』 膝が震えるのが分かった…全身から力が抜ける 「わ、私…か、風間 りょ…涼太は…あさま  しい…」 『違うよね。こんな晴れ渡ったから抜けてるよ!  頭悪いね!使えない子にはお仕置きするよ?』 「お仕置き…嫌だ…」 カタカタ肩が震え、息が上がりかけるのを抑え込む様に息を呑み空いてる方の手で自分の肩を抱く。 『は?』 電話の向こうの声音に苛つきが含まれる舌打ちが小さく聞こえ、慌てて言い直す。 「お仕置き、嫌ですっ」 『だったら早く正しく言い直しなね』 「私、かざ…風間、涼太は…────」 はぁはぁと自分の息継ぎが自分の耳に届き鼓膜を刺激して、心拍数があがる 『【good boy(良い子)】』 「ふっ」 体全体に多幸感が広がる 『良い子だね、りょーた。恥ずかしいセリフ  ちゃんと言えたね。【good boy 】』 「…ありがとう、忍」 『どういたしまして。身体、大丈夫?  一回、クリニックにもおいでよ。  りょーたならちゃんとプレイしてあげるよ?  勿論プライベートでも良いけど、外だと  怖いんでしょ?』 「ごめん…ありがと、な」 良いよ良いよ、そろそろ切羽詰まってるこのかなって心配になっただけだから。 と笑顔が浮かぶ明るい声で言ってくれた忍にお礼を言って電話を切った。 体が少し落ち着いたのが分かり、書き掛けていたメッセージを消して、アプリも閉じる。 体は軽くなったけど…、虚しさが辛い。 忍は従兄弟で心療内科のDom/Sub ユニバースのカウンセラー兼プロDom。 パートナーのいないSubの相手もするお医者様だ。 可愛い顔して嗜好はドS。今は歳上の理想のパートナーを見つけ半年かけて口説き落として交際一年目のこの春、無事パートナー契約(c l a i m)も交わした。 それを機に心療内科の仕事は続けてるけどDomの仕事は辞めたらしい。 相手のSubは愛されてて羨ましいと思った。 俺はのそっと立ち上がりパンツを履き替える。 さっきのコマンドが気持ち良くて白濁でパンツを汚していたから…あんなコマンドで逝くなんて…中学生か…情けなくなって頭を抱えた。 洗面所で軽く下着を洗い洗濯機のドラムに放り込む。 「(ゆかり)さんに申し訳ない事したな…  でも、このくらいならプレイじゃないよ  な?」 縁さんは、忍のパートナー。Subで縛りや射精管理が好きらしい。 もともとそう言う所で俺と縁さんが知り合い同じSubとして時々飲みながら話す仲だった。 ある日迫害(レイプ)を受けてた縁さんを助け、その時俺が呼んだのが忍だった。 縁さんは教員で、生徒にストーキングされていた。結構ある事らしく、卒業までの事と話していた矢先、その生徒が制御もしないGlareを使い、縁さんをSub dropさせてケアする事無くレイプし続けていた。 明らかに犯罪行為だった。 でも、縁さんは生徒の将来を考え通報したく無いと言い、病院に運ぶ事も出来ず忍に相談しきて貰ったのが彼らの始まり。 ドラマみたいな出会いだよな…羨ましい。 忍は見た目は可愛い。 身長は172cmで俺より3cm低く、細身の筋肉はつかないタイプだけどS級のDomだから、何の問題もなくSubだけでは無くGlareで見た目で舐めて掛かってくるDomも捩じ伏せていた。 学生時代の忍を知ってる俺には怖くて忍に悪態吐こうなんて考えすらでないけど…でも、プレイ意外では優しく、普段もパートナーの居ない俺を気遣ってこうやって電話越しにcommandをくれる。 いつまでもこんなんじゃダメだよな… 大抵のSubは多少の嗜好の違いは受け入れて契約までしてしまう事が多かった。 SMもD/Sも紙一重だけど、D/Sの方は命に直結していた。 パートナーを誤ると一発で廃人になったり命を落とす事もある。 言葉一つでた…そんなの怖過ぎる… ぇ?出会い系で知り合う方が怖いって? 勿論そう。 だからすぐには会わず、ワンクッション置いて、専用のボイス通話アプリを使ってる。 それに…実際会った事は無いし、そう言うBARに行っても俺が声を掛けられる事はまず無かった。 SMプレイの出来ないガタイのデカイSubを好むDomは稀だ。本当にレアだ。SSR以上に… 小柄なDomで自分より大きな男を足元に侍らせたいという嗜好のDomは居る。 ただ、俺は自分より大きなDomが好きなんだ。 エリート商社マン的なDomは小柄でこ綺麗な美人を選ぶのが定説だった。 はぁ…何処に行ったら出会えるんだ。 体も軽くなったし…夕方からBARに行ってみようかな…ハッテン場とは違って襲われる事も無いし、何かあっても店内ならスタッフさんが仲裁に入ってくれる。 それに最近の行きつけは店長さんが凄く良い人でそこの所のルールをちゃんと客に伝えてるから客層も変なのがいない。 何より店にプレイルームがあるからお試しも出来て怖がりな俺に向いていた。 「あ、りょーちゃんいらっしーい。今日は早い  のね」 なんか、店長の言い方が聞き様によっては盛りのついた猫の様で恥ずかしくなった。 ま、俺の僻み(ひがみ)だけど… 「何で顔してるのよっ、良い男が居てくれると  客足が増えるから大歓迎よっ  こっちで一緒にのみましょう」 「ママ!ママは今から飲むのは早すぎだから!  仕事してくださいよっ!!」 奥のトイレ掃除をしていたスタッフが笑いながら店長に話しかける。 店長さんはお姉だ。綺麗な顔だちをしているが体は俺より厳つい。でも、明るくSubの相談にも親身になって乗ってくれる最高に良い人だった。 「あ、いいの?」 チラッとカウンセラーに座っていた男の人に目をやった。 「うんうん。こいつは私の幼馴染だからに気に  しないでぇ〜」 「金払ってるんだから客として扱えよ」 わ、良い声だ。 「ほらほら、りょーちゃんいらっしゃいな」 店長の手招きに遠慮がちに男の人の一つ離した隣の席に座る。 「何飲む?いつものカシスオレンジ?」 「うん…お願いします」 「君…Sub?」 「ぇ…?」 男性を見て息を呑んだ…凄く…カッコいい… 男の色気半端ない。俺より10は上そうだけど…いくつだろ?鼻筋の通った丹精な顔立ちに高そうなスーツを着こなす逆三角形の身体…うっわ…足も長!身長高そうっ 「ちょっと、鷹藤(たかとう)不躾!  りょーちゃんは鷹藤の事ガン見し過ぎ!w  どっちを注意して良いかわからなくなっちゃ  ったわよっ」 おおらかに笑う店長の言葉に俺は自分の行為が恥ずかしくなり、店長が出してくれたカシスオレンジを啜った。顔が赤い…。顔が上げれない。 「鷹藤…見過ぎよ」 「いや入ってきた時はDomだとおも…」 聞く気は無かったけど近距離すぎて否応なく耳に入る言葉が違和感のある止まり方をしたので顔を上げると店長が口に人差し指を当てていた。 あ… 「店長さん、気にしないから…大丈夫、です。  ホントよく間違われるし…」 俺は175cm体重68kg筋肉質。顔は悪くはない方だとは言われるけど、それはDomとかタチならばの話し… 「なになになに!すんごく健気で可愛いんです  けど!ギャップ萌よ!でも、ダメよっ、  許せないわっ!私のことはママって呼んで  ね!」 ウインクしてくる店長に苦笑して頷く。 ここに来たのはまだ4回目。カウンターに座るのは初めてだ。それなのに店長は俺の名前もいつも飲むドリンクも覚えているんだと思うと凄いと感心する。 こう言う雰囲気に慣れない俺は『ママ』と呼ぶことにも戸惑いを感じていた。 「へぇ…」 隣のイケメンの視線を感じてまたチビチビとカシスオレンジを飲む。 「ねぇ…お酒好き?」 俺に言ったのかな…まだオープンしたばかりのお店には俺の後に来た客は居ないから…俺、だよな…と顔を上げて見てみると彼が俺を見ていた。 「あ…あんまり強く…なくて、ビール一杯位と  甘い…カクテルくらいしか飲めません。」 「へぇ…ここにはお酒を飲みに?  それとも一夜のパートナーを探しに?」 「鷹藤…あなた、大分スマートさに欠けて…  自分がダサダサな誘い方してるって気付いて  る?」 ママの声に棘があるのに気づく。 鷹藤と呼ばれたイケメンは気にした風もなく俺に話しかける。 「あ、ママ、俺は大丈夫。あの…どっちも…  です。  ただ…一夜ではなく…ちゃんとしたパート  ナーが欲しくて…」 「そう。…じゃあ、俺に一杯奢らせて?」 「鷹藤?」 ママが眉間にシワを寄せてる 「俺もりょうくんて呼んでいい?」 俺はコクリと頷く。 「カクテルには色んな意味が有るんだよ。  花言葉みたいにね」 人見知りの俺は初対面の人間は苦手なのに 彼の話に耳を傾けている 「例えば俺が呑んでるコレはバラライカって  言うんだけどカクテルの意味は  『恋は焦らず』」 鷹藤さんは俺を覗き込む様に微笑むと カクテルに口を付けた…コクリと動く喉仏を見てしまう。 …とてもセクシーに見えた…いや、見せつけられてるのかもしれない…自分の脈拍が上がるのがわかる。でも目が離せ無くて、魅入ってしまった自分に気づき顔が熱くなるり俯向く。 「タカシ、この子にキールを」 「は?ママとお呼び!…まぁ良いわ…。  りょうくんにカンパリソーダを出そうもの  なら出禁だからね!」 ぷんすかしながらいうママに呆気を取られているとクスッと彼が笑った。 「キールはワインベースのカシスが入った  カクテルで食前酒としても出されるんだよ。  意味は【最高の巡り逢い】。」 ドキッとした。いや、ドキドキしっぱなしだった。 この人、女にも男にもモテるだろいなぁ。 お待たせと赤いお酒が出てきた。 乾杯とグラスを軽く上げる鷹藤さんはその仕草もスマートでカッコよく、出して貰ったキールというお酒は口当たりも良く緊張して中々鷹藤さんの顔を見れない俺はコクコクと呑んでしまった。 あ、これ…確かにワインの味はするけどカシスの甘みで飲みやすい…好きかも。 「ちなみにさっきママが言ったカンパリソーダは  ワンナイトラブの際に出す割り切った  お付き合いしませんか?ってカクテルだよ」 俺、そんな酷いこと言う男に見える?酷いよね とか何とか言うけど俺はワインに慣れてなくふわふわしていた。 「大丈夫かい?」 「ゎ!?」 「あぶない!」 突然頬に触れた指に驚きスツールから落ちかけた俺を鷹藤さんが支えてくれた ガシャンとグラスの倒れる音とカウンターから溢れ落ちるカクテルが頭や服に滴り落ちる。 「大丈夫?!怪我はない?」 「はいっ、すみません。俺ボーッとしちゃって  椅子から落ちそうになって…」 店にはいつの間にか人が入りそれなりに賑わっていたようだが、こちらの騒動でシンッと一瞬鎮まりかえる 恥ずかしい…どうしよう 「ごめなさい…」 「この酒はシミになる。タカシ奥借りるぞ。  あと、この子の服洗ってやって」 「ぇ?」 「だーかーら、ママとお呼びって!  もう、わかったわ!ここは良いから奥に  行きなさい」 鷹藤さんにしっしと追い払う様な仕草をしたママだったが りょうくんも気にしなくて良いからねと俺の頭を撫でて優しく言ってくれた。 「大丈夫?落ち着いたかな?」 「…すみませんでした」 「……」 部屋にあったバスローブに着替えさせてもらい、服をママに預けに行ってくれた鷹藤さんが戻ってした。 無言が続くのが居た堪れなくなり顔を上げると鷹藤さんは目を少し細め怒った様な顔で俺を見ていた。 「!?」 Glareは出て無かったけど身がすくみビクッと跳ねる。 「…りょうくんは俺が怖いのかな?」 今度は少量だったけどGlareが出ていた 「ちが…っ」 「じゃあ、何故そんなに震えてるんだ?」 「だ、だって…っ」 「【Say(言うんだ)】」 「あ…ああぁ」 突然のcommandに膝が震える 「大丈夫。怖がらなくて良い。  俺はまだ怒ってないよ。だから言って  ごらん?」 まだ…言う事はこれから怒るかもしれないという事?sayのcommandに俺の唇は言葉を発しようと震える。 「こ、怖く…な、い。今は…ちょっと怖…」 「【good boy】」 「ぇ…?」 体が凄く軽くなった。胸がつかえて吐きそうだった感覚も嘘の様にさっと消えた。 びっくりして見上げた鷹藤さんはさっきまで不機嫌そうだった顔は無く優しい笑顔を見せて、俺の背中を摩ってくれた。 「さっきはごめん。俺がいきなり触れたから  ビックリしたんだよね?」 「すみません。俺…人に触れらるの苦手で…」 背中を撫でてくれていた鷹藤さんの手が止まるのを感じ 「違うんですっ、今は気持ちいいです!」 自分の発言に驚き『あ…』と言葉を失う。 カーッと顔が熱くなり、顔をさげる。 「ねぇ、俺を見て…。俺の手は気持ちいい?」 ゆっくりと鷹藤さんの手がもう一度俺の背中に触れてきた。 俺は上目遣いになってしまったけど、鷹藤さんの顔をみて素直に頷いた。 「可愛いな」 ぽそっと鷹藤さんが呟く。 ぇ?それ、俺の事?ぇ?ぇ!? 「ねぇ、名前教えて。俺は鷹藤朱雀」 「あ、えと…」 「言いたくない?」 鷹藤さんに似合うカッコいい名前だと思った。しどろもどろしていたら鷹藤さんが少しトーンを落として聞くから慌てて首を横に振る。 「じゃあ、教えて?」 「風間涼太です。」 「教えてくれてありがとう。good boy(良い子)」 そう言って俺の額に口付けをした。 「いきなりcommand使って悪かった。」 ひーーーっ?!//// ヾノ゚∀゚*)ィヤィヤィヤィヤ!!謝るとかそこじゃ なくね? だって、これキス?!なんで??!//// 俺はパニクった。さっきの比じゃない! が、commandと羞恥に体も頭もスッキリした為、そのまま固まってしまった。 そして、精一杯の虚勢 「俺なんか…可愛く…ない、です」 「涼太…。【俺が】可愛いと言ってるんだよ」 本名で呼ばれた事とcommandに近い言葉に腰が抜けそうになった。 DomとかSubとか男とか関係なく、この人の色香に酔いそうになった。 てか、俺は意識を手放していた。 「ん…」 「あ、目が覚めた!」 誰…このゴツいイケメン 「ゴツいだけ余計よ!」 「ぇ…、ママ?」 俺は心の声を呟いてしまっていたらしい。 部屋にはメイクを落としたイケメンのママの他にメガネを掛けた小柄なサラリーマンぽい人と鷹藤さんが居た。 「とりあえず良かったわ!  あなたSub spaceに入っていたから…」 「ぇ…?」 ゆっくりと体を起こして貰った。 「プロDomはパートナーかプレイルーム以外  でのプレイは禁止だから一応合意でも  りょうくんにも確認取らせて貰いたくて  待ってたの」 「ぇ…?」 「合意でもないのか?」 ビクッと体が震えた。 黒メガネのサラリーマンの声だった。 威圧が凄く…怖 「将臣、やめろ!涼太が怖がってるだろ!!」 Glareだ。 …なんで?怒って…奥歯がガチガチ震えだす。 鷹藤さんが俺の前に立ってくれる。 Defenceの体制に入った様で俺に当たるGlareは弱まるけど…怖い事には変わりがない… 「合意なら状況からオレは口は挟まない。  でも、合意じゃないならそこからは俺の  仕事(本業)だ」 「ちょっと、待ってよ。Glareも辞めて!  コレだからDomは…もうっ!まーくんも  やめて!」 ママも俺を抱きしめて庇ってくれた。 ママもSubだ。このGlareは怖いはずなのに… って… まーくん? 「ああ、彼…刑事で、私のコレなの♡」 男の姿のママが照れた様に小指を立てた。 「いや、そこ親指だろ?!」 「いや、どっちでもいいんだけど」 「ふははははっ」 俺は3人のやり取りに笑ってしまった。 しまった…と口を押さえると3人の目が俺を見ていた。 「大丈夫そうね」 「そうみたいだな」 「良かった」 BARが閉まり、呼びにきたママが意識の無い俺を見て鷹藤さんを酷く罵った様で、思わず鷹藤さんが怒鳴った所に騒ぎを聞いて顔を出したママのパートナーのサラリーマン改めて刑事さんがママを護るためにまたDefenceだしちゃって大事になりかけた所に俺が「気持ちいい…」とか寝言を言ったものだから鷹藤さんが俺がcommand不足で体調が悪いんじゃ無いかと思い俺に声を掛けた経緯と、commandを与えた経緯、そして何もしていない自己紹介中にサブスペースに入ってしまった経緯を説明していたそうだ。 大事にする事もないけど、合意のないcommandでのD/S行為は違法なので刑事であるサラリーマン…まーくんには見逃す事のできない事態だった為、話を聞こうと俺が起きるまで待っていたと言う。 「すみません。今朝…医師に電話カウンセ  リングは受けたので大丈夫だと思ったんです  けど…その…鷹藤さんの…commandが…  その…気持ち…良すぎて…」 恥ずかし過ぎて声が消え入りそうになる。 「…鷹藤、ここのカギ。  オレら帰るから。まーくんも、もう良い  よね」 サラリーマン改めまーくんは無言で頷いて部屋を出て行く。 じゃあ、帰る時は戸締りして鍵は改めて返しにきて、と言い残しママは帰って言った。 「ご迷惑を…お掛けして、すみません!」 俺は大人3人に大迷惑を欠けた事に身を縮め謝る。 「涼太さぁ、ひょっとしてSS級?」 それを聞かれて何のことがかすぐわかる。 Subの階級クラスの事だ。 コクリと頷く。 「それは大変だったね…」 今のは俺の嗜好の問題についてでも体格に付いてでもない。 SS級のSubの相手は、同じSS級のDomにしか出来ず、SS級のDomは基本的に社会的にも特殊階級に属する事が多く、一般的に出会える事が難しい。逆にSS級のSubはそう言ったDomからの需要はあるが、良家の人間が箱入り状態で嫁ぐ為、一般の俺みたいな立場のSubはみを持て余し精神的に不安定になり、悪くすれば病院から出れなくなると言う末路が待っていた。 「改めて、さっきは無断でcommand使って  すまなかったね。  将臣に内緒にしてくれて有難う。  辛そうで見てられなかったんだ…」 「いえ、本当に助かりました。 あの…俺なんかの相手させてごめんなさい」 鷹藤さんが目を細める。 「何故謝る?」 「だ、だって、SS級のDomですよね?」 「生まれ持った体質で。俺が望んだものでも  ない。」 それでも…Subの俺にはそのDomがどれだけ威圧的でも暴力的でも必要なんだ。 それに、会いたくてもそう簡単に会えない存在…。 無意識に握った拳に俺より大きくてゴツゴツした鷹藤さんの手が重なる。 「すまない…。俺が怖いか?」 怖くない…不思議と…。 Domは本能的に怖く感じて居たけど、この人はSS級だと言うのに怖く無かった。 時間は明け方の3時半を回っていた。 とりあえず今からは電車も止まって帰れないから今日はここに泊まろうと鷹藤さんが提案してくれて…俺は駅一つだから歩いて帰りますと言ったけど、今の俺を一人で帰すとタカシに出禁にされるからと一緒に泊まらせてもらう事になった。 鷹藤さんが頭をタオルで拭きながら風呂から出て来て、続いて俺が風呂を使わせて貰う。 濡れ髪姿にドキドキして逃げる様に風呂場に来てしまったけどワインが髪にも掛かっていたのかベタ付いたので俺も髪を洗いスッキリした。 いつもオールインワンの全身洗えるソープを使う俺はそこに並んだコンディショナーなどを興味津々で使わせて貰った。 鷹藤さんと同じ香りかと思うとときめいてしまい、女子か!と自分でツッコミを入れてしまった。 「前髪が降りると大分可愛くなるんだな」 出てきた俺への第一声。 心臓が跳ねる。 「鷹藤さんも若くみえますよ」 幾つに見える?なんて聞くから28…くらい?と聞いたらそうだと言われ、最初30後半だと思った感想は封印する事にした。 「涼太は社会人?」 「いえ、まだ大学生です。」 6つ下ですと笑って返した。 「ねぇ、涼太少し…プレイしてみないか?」 俺の体はビクッと震える 「心配いらない。プレイと言っても軽いもの  だ。お前の体に傷をつける事や痛い事は絶対  さない。セーフワードも決める。」 ああ…きっと、パートナーのいないSSのSubに同情してくれてるんだな…こんなイケメンなら多少の暴力を振るわれてもプレイしてもらえる事事態有難い事だ。 忍にいつまでも頼る訳にいかないし、他の人に慣れなる意味でもこんなイケメンが相手をしてくれるなら…有難いと喜ぶべきだ。 沈黙を了承と認識したのか、鷹藤さんが話を進める。 「涼太はどんな風に扱われたい?  俺は基本的にお仕置き以外はSubが嫌がる  事はしたくない。甘えさせたいんだ」 「ぇ…俺…みたいのでも?」 「ん?涼太は可愛いと思うぞ?」 いや、さっきは髪を上げて渋めのイケメンだった鷹藤さんは髪が下りたらセクシーなフェロモンムンムンな男性だった。 バスローブがら見える胸元もセクシーだった。 「涼太…盛りのついた雌猫の様な顔になって  るよ?」 クスッと笑いながら言われ、恥ずかしくなる。 「こっちにおいで…【come】」 床には分厚いラグが敷いてある。 四つん這いになり鷹藤さんの足元に近づく。 「【good boy 】。何も言われなくてもハイ  ハイで来れたね。可愛いよ」 その言葉に腰が抜けそうになる。 「涼太には俺のcommandが入りやすいみたい  だな…クスッ、可愛い」 言われ慣れない「可愛い」の言葉に脳が痺れる。 「涼太、喉渇かない?」 「渇き…ました」 俺のセリフに鷹藤さんは立ち上がるとその手にペットボトルのミネラルウオーターと皿を持って戻ってきた。 「涼太、皿で飲むのと俺に飲まされるの  どちらがいい?」 ゾクリと尾骶骨付近に痺れが走る。 ペットの様にお皿で飲まされるのは好きだった。 Domから飲まされるのも多幸感を貰えるけど、Domによっては水槽や浴槽に顔を押し入れられたりする事もある…現に鷹藤さんも飲ませ方は言ってない。 D/Sは信頼関係があってこそ。 一度受け入れたらノーとは言えない。 だけど… 一度失った信頼も取り返せないから 「飲ませて頂きたいです…」 「そう…。ここにおいで」 鷹藤さんは自分の膝を叩く。 立ち上がって見たものの…戸惑う。 俺が座ったら…重くはないだろうか? 「涼太、遅い。本当に嫌ならsafe wordを  言え。  それとも…お仕置きされたいのか?」 「ぁ…」 違う。と言いたかったのに声が出ない。 「涼太【strip(脱げ)】」 「っ!?」 「涼太、さっきも言ったけど俺は基本的には  Subを甘やかしてやりたい。  ただ、それは俺のcommandに従った場合  だ」 早く脱げとその目で促される 立ち上がり、震える手でバスローブの紐を外し、前を広げる。 下着は履いていなかった。やる気満々だった訳にではなく、ズボンごとベタベタだったから脱いで預けただけの事。 ワインでベタベタになったから全部脱いでバスローブを着るように言ってくれたのは鷹藤さんだ。きっと誤解はされていないはず… 「ヤラシイ…」 俺にそんなに見せたかったの?…ここ。 とやんわりと俺の半身を握り込んだ。 「ツゥ…」 咄嗟に腰を引いてしまい、痛みを伴う。 だけど、半勃ちしてるソコは鷹藤さんの手の中で萎える事はなかった。 stripのcommandを完遂すべくローブも脱ぐ。 その間もやわやわと鷹藤さんの手が俺のモノを扱く。 脱いだバスローブをそっとベッド脇に置く。 「良い体をしてるな…どうした?  そんな顔をするな。俺に褒められるのは  嫌か?」 ブルブルと思いっきり首を横に振ると、プッと鷹藤さんが笑った。 「君は…お前は可愛いなぁ。俺好みだよ」 嬉しい…半身が痛いほど反り返っといるのがわかり前屈み気味になると、鷹藤さんが半身を握りしめてまっすぐ立てと命令する。 「お仕置きだと言うのに…ここも、ヨダレを  垂らしてだらしないなぁ」 俺の先走りで汚れた手を見ながら鷹藤さんがため息をつく。 本能的に嫌われたくなくて、跪き「綺麗にさせて下さい」と自分からお願いし、その手を舌で舐めてきれにした。 必死に舐めていた。 もう良いよと頭を逆の手で撫でられ見上げると優しい目で「good boy」と褒めてくれた。 その言葉に俺の半身はまた爆ぜ、白濁を撒き散らし、鷹藤さんの足を舐める事になる。 床まで舐めようとした時、鷹藤さんはもう良いと止めてくれた。 「お膝においで…はは、もうトロトロだなぁ」 今度はちゃんとその膝に座らせて貰った。 体重をかけない様にして居たら、すぐにバレ、脇腹を撫でられ大丈夫だから体重を預ける様に言われた。 「ほら、ご褒美だよ。お水飲んで…」 唇に柔らかいモノが触れたかと思ったら生温い水が口に入って喉を潤した。 口移しでお水を飲ませてもらってる事に気付いて俺は嬉ションして意識を手放した。 ふわふわした感覚から意識が戻る。 自分のやらかした事を思い出した勢いよく飛び起きた。 「ん…起きた?上手にSub spaceに入れたね… 【good boy(良い子)】」 ひゃんっと声にならない声を上げる。 そこにはまだ鷹藤さんがいた。 しかも腕枕してくれてたみたいだ。 声も寝起きでセクシーだ…じゃなくて! 「お、俺、ごめなさっ、お漏らし…」 恥ずかしくて言葉が、うまくでない 「ああ、嬉ションの事?気にしてないから良い  よ。俺に水飲まして貰って嬉しくなっちゃっ  たんだろ?」 図星で…顔があげれなかったのに、顎を取られて鷹藤さんの方を向かされる。 「涼太くんはDomにお世話されるのが好きな  Subなんだね。…しかもペットみたいに…」 ヒクンッと体に電気が走る。 「command慣れしてない所も初々しくて良い  なぁ」 普通なら面倒くさいと言われても仕方がないのに… 「ありがとう…ございます」 お漏らしして粗相しっぱなしだった半身は綺麗になっていた。 サッパリもしてるから鷹藤さんが拭いてくれたんだと思うと嬉しいやら情けないやらだった。 俺が一人でテンパってると鷹藤さんが 「ねぇ、俺も今フリーだから俺たち付き合って  みないか?」 と言ってきた。 その言葉にびっくりして俺が固まっていると 怖がって迷ってるんだと判断した鷹藤さんは 「パートナー居ないと見つけるのも大変かも  だろ? 暫くcommandを貰う都合よくの良い  相手でも良いから、どう? その状態だと  体も苦しいだろ?  もう少しcommand入れていかないとプレイ  するにしても普通の相手だと通り難くて誤解  されかねないよ」 「あの…」 「ん?」 「お金…ないです」 優しく甘いマスクが能面の様になり、美しい眉間に皺が寄るのに然程時間は掛からなかった。 「お前…天然か? じゃなければ縛って放置  プレイだ」 「え?あだだだだ…」 思いっきり頬をつねられた。 「やっぱり…おっさんは嫌か…」 「ち、違います!俺こんなで、Subなのに  可愛く無くてゴツいし。自分に自信なくて…  卑屈だし…呆れられると思うんです」 「呆れてるのは、今だな。」 え… 「付き合っても無いのに決めつけるんだな。  それだとお前普通の恋愛もした事ないだろ?  俺は元々ゲイだ。家名に拘る家柄だがカミン  グアウトもして家も出ている。  ゴツい男が俺の言う事を聞いて可愛く振る  舞わせるのが好きだ。恥ずかしい格好も  させる。  スパンキングはお仕置きの時だけ。それも  手でしかしない。  仕事のプレイでSubが持ってきたモノで叩い  た事は正直あるが、自分から鞭やパドルを  使いたいと思った事はない。頼まれなければ  ビンタもしない。  普段は普通のカップルの様にしていたい。  カフェでもレストランでも相手が望まなけれ  ば同じテーブルで食事もしたい。  勿論、プレイの時は足元にお座りさせて、  その口に手ずから餌を食べさせたい。  俺が咀嚼したものを食べさせたり俺の体から  出るものは…尿だって嫌がらず飲むように  したい。  それを初めからしようなんて思っては  いない。  ただ…さっきの涼太は、本当に可愛くてどう  しようも無く俺のど真ん中だったから、  言わずに帰したくなかったんだ」 は…やだ…ど、どうしよう。 悩むなんて、そんな権利元々Subにはないし、こんな俺を可愛いなんて言ってくれる人なんてそうそう居ない。 しかも、こんな真摯に接してくれりは。 しかもしかも、俺がして欲しいプレイスタイルだし、ゲイって事は奥さんも娶らないって言ってくれてるんだよね? どうして、こんなお得物件が今まで残ってたの!? 「ぁー、それは仕事の関係で…」 あ、口に出てた? どうやらな鷹藤さんのはプロDomで、仕事でSubに気遣ってプレイするのに、プライベートでも気遣うのが面倒くさくてやってられなかったそうだ。 SSと言うと大体鞭や蝋燭苦痛系とか加虐性を期待される事が多いらしい。 ストンと腑に落ちた。

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